창작과 비평

「二つの戦争」を超えて大転換の時代へ / 徐載晶 [2024.1.2]


新年2024年が明けた。でも、世の中は暗い。ロシアの侵攻で始まったウクライナ戦争は今も続いている。ハマスのテロ作戦に発したイスラエルのジェノサイド(大量虐殺)はとどまることをしらない。米中間の競争は多方面で波状的に進んでいる。環境危機は止むことなく進み、今や瀬戸際に立った。東北アジアや朝鮮半島の上には戦争の暗雲が立ち込めている。

この複合的な危機は2024年にもっと深刻になるのか。この危機の渦は朝鮮半島だけでなく、世の中すべてを巻き込んでしまうのか。人類はこの危機を打開する知恵をもっているのか。知恵があるなら、それを実行する端緒はどこからつくるのか。

ウクライナ戦争は冷戦の延長戦といえる。米国を頂点にした資本主義勢力と、ソ連を頂点にした社会主義勢力との間の冷戦は、後者の敗北で一段落した。東欧圏が没落し、ソ連自体が分裂して歴史の裏側へと消えた。だが、ソ連の後を継いだロシアは徐々に力をつけて再登場した。米国と西欧はNATOという軍事同盟を東方に拡大し、ミサイル防御システムやミサイルをその先端に配置し、ロシアを先制攻撃できる能力をめざした。同時に、様々な理由で経済制裁がまたも発動されてロシアへの圧迫を強めた。

米国と西欧がウクライナまで軍事協力を拡大させ、先制攻撃の可能性を開きそうな時、そこで先制攻撃したのはロシアだった。初期の様々な作戦の失敗を経て、予想より強力なウクライナの防御に苦戦を強いられたロシアは、当初の失敗から迅速に戦術を変える対応能力を示した。米国と欧州、その同盟国の団結したウクライナ支援とロシアへの制裁も大きな打撃にはならなかった。大規模な支援を受けたウクライナの「夏の反撃」が全く成果を上げられずに失敗した反面、ロシアはむしろ逆攻勢の動きを見せている。

それで、冷戦の延長戦は行ったり来たりを繰り返し、簡単には結末が出せずにいる。それだけでも、「歴史の終焉」は時期尚早の予言になってしまった。それだけでなく、ロシアは米国よりも政治的にも経済的にも安定した様子を見せている。さらに、この機会にドルに代わるべき新たな国際決済システムを模索しており、様々な多者地域機構を構想して新たな多国籍国際秩序の基盤を固めている。冷戦1.0はソ連の崩壊で幕を下ろしたが、冷戦の延長戦は過去とは全く異なる様相を展開しているのだ。


中国が米国の波状攻勢を周到綿密に防いでいるのも、冷戦の延長戦の新たな様相である。冷戦時代、中国は「第三世界」を主唱したが、米ソに匹敵する超大国にはなれなかった。それが今、米国の現実主義外交の大家であるキッシンジャーが構想した、米・ソ勢力間のバランサーの役割を果たすほどになった。そうした中国は今、冷戦時代のソ連を連想させるほど国力を伸ばした。米国も冷戦期のソ連がそうだったように、中国は既存の国際秩序を脅かす挑戦国だとして警戒をひどく強めている。

しかし、中国は過去のソ連でもなく、現代は「鉄のカーテン」で東西陣営が分断されていた冷戦時代とも異なる。米国は冷戦時代に経済的脅威として浮上したドイツや日本に対処した方式を動員してきたが、中国は1980年代のドイツや日本とも異なる。何よりも、安全保障を米国に依存する「従属国家」ではない。中国は世界の「生産基地」であり、原資材の保有国であり、科学技術も急速に成長している。サウジアラビアとイランの和解を主宰したことで劇的に示したように、国際舞台でその外交的手腕も発揮している。


イスラエルのパレスチナ侵攻は、長い間解決されていない植民地主義の問題が積もって破裂したのだ。もちろん、一次的な原因はハマスが提供した。イスラエル史上で最も極右と評価すべき内閣がイスラエルの政策を掌握しているのも理由である。でもやはり、その根源はパレスチナ人の自治権を認めないイスラエルの植民地支配政策である。そして、植民地主義がまだ力を発揮していた20世紀初頭、英国などの植民地宗主国がイスラエルというもう一つの植民地を建設したのがその歴史的根源と言える。

米国のイスラエル支援は「イスラエル・ロビー」のためだけだろうか。西欧諸国が、イスラエルの長年のアパルトヘイト政策に目をつぶり、現在進行中の民間人の虐殺に沈黙するのはユダヤ人差別という「原罪」のためだけだろうか。イスラエルはほぼ最後に残った植民地である。中東の民族主義に打ち込まれたくさびである。植民地支配の宗主国は、自ら撤退したことは一度もないだけでなく、植民地主義をきちんと謝罪したこともなく、まして賠償を支払ったこともない。そう、パレスチナ侵攻は「植民地主義の最後の戦争」でもある。


現在進行中のウクライナとパレスチナの「血の嵐」は、人類に峻厳な問いを投じている。果たして冷戦を確実に終わらせられるのか。植民地主義を完全に清算できるのか。少なくとも過去80年間先延ばししてきた宿題をこれ以上先延ばしはできない。「二つの戦争」の渦中で倒れて呻吟する市民が、私たちすべてを凝視しているからだ。

そして、「冷戦の延長戦」や「植民地主義の最終戦争」は近代の問題でもある。資本主義は植民地主義とともに成長し、その成長の最終局面で冷戦を派生させた。中国もロシアも産業化を通じた成長主義を追求している点では根を共有してもいる。環境危機がますます悪化せざるを得ない理由でもある。「二つの戦争」が終わらせることは重要だが、どのように終わらせるかがより重要な理由である。

2024年は2025年にいくための飛び石である。単に1年が他の年になっていくという時間的な意味ではない。新たな転換を切り開く歴史的な時間になりうるという話だ。進行中の戦争は早く終わらせねばならない。戦争の危機が次第に高まっている朝鮮半島では、その危機を阻止すべきだろう。朝鮮半島では冷戦が終息したことはなく、植民地主義も清算されなかった。朝鮮半島での戦争の危機を阻止することは、長引いた冷戦を完全に終わらせることである。「慰安婦」問題と「強制動員」被害者の問題を解決することは植民地主義の清算への道である。「二つの戦争」を終わらせる課題は、まさに朝鮮半島の課題なのである。

その課題は巨大だが、やるべきことは足元で具体的に見つけるべきだろう。しかし、つま先だけ見ていると、めちゃくちゃな道に入りやすいものだ。足元の火を消そうとして、家屋全体が焼けることもある。大転換を展望はするが、小さな変化をつくりだすべきだろう。2024年は、「大転換」へと至る堅実な基盤が豊かに築かれる年になることを祈っている。


徐載晶(ICU政治・国際関係学科教授)

翻訳:青柳純一