창작과 비평

孤立か連帯か、変化する日本政治 / テッサ・モーリス=スズキ [26.03.27]

 

孤立か連帯か、変化する日本政治

 

 2026年2月8日、自民党の高市早苗首相が率いる日本の連立与党(自民党と日本維新の会)は、衆議院選挙で圧倒的な勝利を収め、全議席の3分の2以上を確保した。全世界のメディアは、これを重大な政治的里程標になる事件だと見ている。こうした結果は、1947年に制定以来一度も改定されていない戦後憲法の改定を含めた大々的な政治改革を、高市政権が推進できる位置に立ったことを意味する。高市は日本最初の女性首相であり、英国の『エコノミスト』は彼女を“世界で最も強力な女性”という評価もした。

 

 だが、もう少し綿密に分析すれば、今回の選挙勝利には歴史的脈絡が存在し、高市の権力が外に現われて見えるよりはるかに制限的でありうるのがわかる。戦後、連合軍の占領期(1945~52年)以後、日本の保守勢力は占領期に導入された“平和憲法”を改定し、植民地帝国および戦時膨張主義の記憶を蘇らそうという試みを続けてきた。創初期にこうした努力の先頭に立った人物は自民党の岸信介首相(1957~60年在任)だった。1960年代から80年代前半まで、経済・技術強国として日本の成功はこの復讐主義的(revanchist)構想を政治的論争の中心から遠ざけたが、完全に消えたわけではなかった。1990年代以後、日本経済が長期的沈滞に陥るや、そのような構想は岸の孫である安倍晋三首相(2006~07,2012~20年在任)によって積極的に復活した。安倍の政治的後継者として高市は自らをこうしたビジョンの継承者と見なしている。

 

 日本の選挙制度の構造と伝統的に低い投票率のせいで、70余年間、自民党は圧倒的な政治的優位を占めてきた。それでも自民党は、戦後憲法の改定に必要な議席数と国民的な支持を確保するのには失敗した。憲法改定には衆議院と参議院の両院でそれぞれ3分の2以上の賛成を得て、その後の国民投票で過半数の支持を得なければならない。こうした高い制度的な障壁に対応し、この間自民党は憲法条項の文言を選択的に“再解釈”することで、軍事力拡張を制約する憲法的制限を漸進的に弱体化する戦略を駆使した。

 

 その結果、憲法第9条で「陸・海・空軍、その他の戦力を保有しない」「国家の交戦権は認めない」と明示していても、日本は現在「グローバル・ファイヤー・パワー指数(Global Firepower Index)」上で世界第7位の軍事力を保有した国家として評価され、海軍・空軍の戦力もまたそれぞれ世界第6位規模に達する。こうした軍事力は外国の攻撃に備える純粋な自衛目的に限定されるという日本政府の保障下で数十年間制限されてきたが、この制限もまた次第に弱体化した。特に、2015年に制定された“平和安全法制”は“存立危機事態”というものに対応し、日本の軍隊の海外派兵を可能にしたが、存立危機事態とは日本に対する経済封鎖や海外にいる日本人の生命を脅かす事件などを包括する曖昧な概念である。2017年以降、日本政府は国防費を急速に拡大する政策を推進しており、2022年には2020年代後半までに日本の国防予算を米・中に次いで世界第3位の規模に引き上げる追加の拡張計画を発表した。ただ、日本とこれら超強大国間の軍事力の格差は相変わらず莫大であり、軍事力の増強は日本を米国とより緊密に結束させようという(例えば、高市首相はトランプ大統領をノーベル平和賞候補に推薦しようと言ったのを始め)約束と合わせて推進されている。

 

 参議院で右派政党の十分な支持を確保した場合、高市政権は憲法改定案を通過させうる能力をもつことになる。国民投票で過半数の支持を得られるかは不確実だが、中国の浮上と国際秩序の不安定性に対する日本国内の不安が高い状況で、高市はナショナリズム的な前任者の長年の念願をついに実現する“栄光”のために憲法改定を押し通そうとしうる。

 

 高市は自らを英国の“鉄の女”マーガレット・サッチャー(Margaret Thatcher)に比肩しようとする。しかし、日本の首相は致命的な弱点をもった鉄の女であるようだ。高市が主唱する民族主義は、彼女のメント・安倍晋三の時と同様、米国の軍事力と経済力という外部影響力に全面的に依存する従属的な民族主義(satellite nationalism)である。高市はトランプの側に立っていると明確にしてきたが、中東紛争に深く介入したトランプ政権が日本の戦略的な優先順位に関心を傾ける可能性は極めて制限的である。

 

 高市が象徴的な理由で憲法改定を推進する可能性はあるが、80余年間一度も改定されない憲法を変更しようという試みは天皇の役割、少数民族の権利など多様な条項をめぐる論争的かつ分裂的な討論を触発するかもしれない。同時に、日本の首相が達者に駆使する民族主義的な修辞は、少子高齢化によって移住や国際的な移動を拡大すべき必要性がいつの時よりも高まった状況で外国人へのヘイトを煽っている。財政緊縮と社会的支出の縮小を基盤にしたサッチャーの新保守主義とは異なり、高市政権は財政支出の拡大を通じて経済的沈滞から脱出しようとするが、これは莫大な国家負債をさらに増加させてインフレを誘発する可能性がある。

 

 米国と日本政府が共に強硬な修辞を駆使していても、東アジアの勢力バランスは中国中心に再編される趨勢が加速化している。中国は抑圧的な政治体制下で多様な内部問題を抱えているが、対外戦争に深く介入しない一方で、経済的・技術的な力量の拡大により集中してきた。トランプ政権は戦後米国が主導してきた規範を基盤とする国際秩序を弱体化させたのはもちろん、無謀な対外政策によって自国の経済と同盟国の経済すべてを不安定にしている。こうした状況で、アジア・太平洋地域の中小国家に最も至急の課題は、この歴史的なグローバル権力構造の変化にあたって平和的で、協力的かつ自力的な対応を模索する対話の場を構築することである。そして、これは21世紀の強大国間の葛藤に対する、いわば“新たなバンドン式対応”になるだろう。現在日本政府の政策は日本をアジアの隣国から孤立させ、様々な重要な対話と協力の過程から日本の役割遂行を難しくさせ、ジタバタしながら沈みゆく超大国に日本をさらに絡ませる結果をもたらしうる。

 

テッサ・モーリス=スズキ (Tessa Morris-Suzuki) / オーストラリア国立大学 アジア太平洋カレッジ 名誉教授

(訳:青柳純一)