창작과 비평

揺れ動く分断体制、どこへ行くのか / 徐載晶 [2019.7.31]

 

急に降りだした夕立の雨なのか。長く続く梅雨なのか。朝鮮半島を覆う厚い雲は晴れるのか。晴れわたる日を早めるために、今なしうることはないのか。

 

7月中、韓国は総体的な難局を経験した。日本が先陣を切った。4日から史上初めて経済報復の刃を振るいはじめた。ロシアが後を継いだ。23日、早期警報搭載機が韓国の領空に無断侵入した。中国も同調した。ロシア空軍とともに連合訓練飛行を展開し、韓国防空識別圏を飛び回った。米国も引けをとらなかった。24日ボルトン国家安保補佐官を派遣し、防衛費負担金の増額とホルムズ海峡への派兵を要求した。7月の末尾は北が仕上げた。23日新型潜水艦の公開に次ぎ、25日と31日に相次いでミサイルの発射試験を行った。文字通り、東西南北で大騒ぎだ。経済と安保の両面でヒヤヒヤものだった。  だが、始まりに過ぎない。まず8月2日、日本は閣僚会議で輸出審査の優待対象であるホワイト・リストから韓国を除外する輸出貿易管理令の改定案を処理する予定である。輸出規制対象も高純度フッ化水素など三大核心品目から大幅に増大しうる。包括許可から個別許可の対象に代わりうる品目が1,100余に達するからだ。これらの輸出をすべて阻みはしなくとも、その経済的な波及効果は予測しがたい。さらに、朝鮮半島の安保状況も南北が強対強で、衝突に向けて突っ走っている。予定通り、韓・米が8月初めから連合軍事演習を強行すれば、北が強く反発するのは火を見るより明らかだ。すでに『労働新聞』は、金正恩委員長の話を直接引用し、軍事演習を中断せよという「勧言」を「南朝鮮当局者」に伝えているからである。25日ミサイル2発の試験発射より強い措置をとるはずで、これは米朝交渉を座礁させる暗礁になりうる。8月には経済だけでなく安保にも何が起こるか、みんなが心配している状況である。

 

揺れ動く分断体制と反動

日本が経済報復の刃を抜いた理由は、表面上は安保のためだったが、実質的には強制徴用問題で火を噴いた植民地支配の清算問題である。つまり、2018年10月大法院が日帝時における強制徴用被害者の損害賠償の再上告審で原審を確定したことに反発しているのだ。植民地支配の被害者の損害賠償請求権は、1965年の日韓条約でも、日本の裁判所の判決でも、請求権の消滅時効でも消滅しなかった、という大法院の判断は受け入れられないというのだ。今回の日本の措置は、これに対する反発である。すべての請求権は「完全かつ最終的に解決」されたという、1965年の日韓条約に韓国が違反しているというのだ。  そうでなくとも、日本軍「慰安婦」問題のために歯ぎしりしていた日本である。日韓条約当時、その存在を公式的に認めてもいなかった「慰安婦」問題は、1991年から日本の植民地支配の未解決を象徴する最大の難題になった。故金学順ハルモニがカミング・アウトし、韓国市民社会がこれを持続的に提起し、超国家的な性奴隷イシューに認識を深めたからである。弥縫策で一貫していた日本は、2015年12月当時の日韓外相会談で「最終的・不可逆的」に慰安婦問題は解決したと主張している。この合意により、日本は政府予算10億円を拠出して和解・治癒財団を設立、慰労金まで支給したが、文在寅政権は和解・治癒財団を解散するなど、合意を覆したというのだ。今日、安倍政権は歴史問題で本格的な逆攻勢に入った様である。「謝罪しない日本」が問題ではなく、「約束を守らない韓国」が問題だと、歴史問題の枠自体を覆そうと試みている。

 

日本の保守・右翼の総体的な逆攻勢である。植民地支配の清算から排除された韓国市民が、民主化を達成して歪曲化した日韓関係を正そうという段階に達したことへの反撃である。完全に被害者と市民社会の力で、慰安婦と強制徴用問題を社会的公論の場に引き出し、韓国の政治制度の民主化とともに裁判所も過去の誤りを正していく流れを覆そうというのだ。そのために結成したのが「新しい歴史教科書をつくる会」であり、「日本会議」であった。日本の政治学者・中野晃一が「バック・ラッシュ元年」とよぶ1997年に始まった右翼の組織的活動は、安倍政権の経済報復に結実しているのだ。この激しい流れは、改憲を実現させる時まで続く勢いである。

この荒波は、朝鮮半島の平和と繁栄プロセスに対する反発でもある。2018年から南北、米朝は数回の首脳会談を続け、朝鮮半島の戦争状態を終結させて平和体制を構築し、非核化を実現するための歩みを踏み出していた。こうした対話と平和の過程から徹底的に排除された日本には不都合なことだった。「蚊帳の外の蚊」の身となり、条件なしの対話を求めても反応すらない立場だった。口を挟めないなら覆したかったのだ。折よく韓国を、朝鮮半島の平和プロセスを揺さぶりうる端緒を探しだしたのだ。安保のためを掲げて。

 

文在寅政権のハッキリしない姿勢が問題を大きくした。サード問題をきちんと解決せずに中国から疑いの目で見られつづけた。朝鮮半島の平和と非核化を語りながらも、韓米同盟の「地域グローバル寄与」を強化し、去る6月の韓米首脳会談で「米国のインド・太平洋戦略間の調和ある協力」を約束した。中国のみならず、ロシアも疑いの目を向ける発言だった。さらに、韓米軍事演習を強行する動きを示したことが、北の「勧言」を触発した。朝鮮半島の分断体制を揺さぶって平和体制に移行しようと言いながら、このための措置を南北関係でも、朝鮮半島でも進展させていない。分断体制を誤って揺さぶり、逆風を招いたのではないか。

 

反動を越えて平和体制へ

現在の日韓葛藤は、表面的には日本の輸出規制により触発されたが、深層的な理由は未解決の歴史問題にある。揺れ動いている朝鮮半島の分断体制と、変形しつつある冷戦体制が歴史問題を前面に浮上させたのである。7月の総体的危機は朝鮮半島の分断と日韓の分断、解消されない冷戦分断という三重の分断すべてを揺さぶり、互いを刺激しているという傍証でもある。   進むべき道は歴史の流れである。市民が天である。市民を排除したまま歪曲化された日韓関係は、時間をかけてでも正さねばならない。反日か、親日かの選択ではない。植民地支配の反人道性および不法性を直視し、未来を開いていく超国家的な市民連帯を構築すべきか、民族主義に埋没した民族国家間の無限競争に順応するのか、この二つの選択なのだ。

 

その選択は平和の道でもある。朝鮮半島の平和体制は南と北だけでは構築できない。朝鮮戦争の一方である米国も参与すべきだが、国連の後方司令部がある日本の役割も必要である。中国とロシアも平和体制の構築に制度的に同参すべきである。朝鮮半島の平和体制は「戦争できる国家」を追求する勢力(日本だけでなく韓国と米国、中国、ロシアすべてにいる)と、戦争のない世の中を追求する勢力との競争の中でつくられるだろう。8月初め、韓国と米国が米韓連合軍事訓練を選択するかが試金石である。2018年の平和プロセスは、同年初めに韓米軍事訓練を延期する決定で始まったことを記憶すべきだ。 そして、昨今の厳重なる状況は韓国市民に問うている。三重の分断を強化する戦争の過去を選択すべきか、三重の分断を解消する平和な未来を選択すべきか。3・1運動100周年に三重の分断が全面的に提起されるのも偶然ではないようだ。独立宣言文は想い起すに値する。「ここにわれらはわが朝鮮が独立国であり、朝鮮人が自主の民であると宣言する。二千万すべてが鋭い刃を懐に入れ(……)われらが進んで得ようとするならどんな強敵であれ撃退できないであろうか、退いて事をなすならわが志を広められないであろうか」。

 

翻訳:青柳純一・青柳優子