창작과 비평

[卷頭言] 転換期を乗り越える賢明な対案を求めて (2007 秋)

陳正石(チン・ジョンソク)

 
 

ここ数ヶ月間、国内外に鬱な事件が珍しく相次いだ。2・13合意の履行のための6者会談が退屈な綱引きを続ける中、大統領選挙を控えている国内政治は、与党の紛らわしい離合集散と、野党の大統領選挙候補らの低劣な暴露戦の一色である。数多い反対と憂慮にもかかわらず、韓米両国の政府はアメリカ議会の交渉時限に合わせてFTA妥結を急いで宣言し、世間の関心を集めたイ・ランド(E‐LAND)の労使交渉は売場の占拠座り込みと強制解散という破行に至った。一方、7月下旬、アフガニスタンの反政府武装勢力タリバンが韓国人20余名を拉致した事件は、全国民に大きな衝撃を与えた。アフガニスタン駐屯韓国軍の撤退及び人質の交換を要求するタリバンとの交渉不可の方針を明らかにしたアメリカ及びアフガニスタン政府の強硬な立場が対立する状況の中で、韓国政府が実質的な交渉力を発揮する余地は多くなさそうであり、すでに犠牲者が発生したこの不幸な事態は、長期化の兆しを表している。
ある程度の衝撃には微動だにしないほど鍛えられている韓国人の情緒に照らしてみても、ここ数ヶ月のあいだに起った様々な事件は、我々の日常的生活が予測不許の危険と不安の中に置かれているという事実をあらためて確認させるものである。相互何らかの関連をもつこの一連の事態の中で、我々は次の二つの側面に特に注目することができる。第一に、我々の生活の安全を脅かす恐怖と危険が国境と人種、階級と宗教を越え、すべての日常の中に慢性化しているという事実である。IMF国際通貨危機の苦難を乗り越え、豊かな消費社会の入り口に到達したと安堵したその瞬間、我々は無限競争と失業の恐怖、葛藤と紛争が蔓延する全地球的「危険社会」へ進入したのである。第二に、特定の事案をめぐって様々な観点と見解が百家争鳴式に衝突する汎社会的不協和音である。実際、最近発生した大きな事件は例外なく多様な次元の社会的論難と葛藤を生み出した。階級的・理念的利害が先鋭にぶつかりあう韓米FTAや大統領選挙関連の論争はもちろんのこと、アフガニスタンの拉致事態は、韓国基督教の宣教方式をめぐる宗教論争からアメリカの覇権主義的世界政策に対する論難にいたるまで幅広い論争のスペクトルを生み出しており、イ・ランド事態も社会二極化現象と非常勤職、宗教と資本をめぐる複雑な論争へとつながっていたのである。

 
もちろん鬱な状況を反転させるいくつかの希望的な兆候がないわけではない。この中、特に今度の8月28日に平壌で二回目の南北首脳会談が開催されるという嬉しいニュースは、南北経済協力と北朝鮮の核問題の進展、朝鮮半島の平和体制の定着を念願する我々すべての願望と期待を高めるものである(南北首脳会談は北朝鮮の水害のため、10月初へ延期した ― 訳注)。にもかかわらず、現在の世界体制の構造と朝鮮半島の周辺情勢が非常に不安定であり、不透明な局面を通過しているということ、そして我々がいまだにこのような混乱と不和を生産的に収斂する公的価値や標準的モデルを整えていないということも否定できない事実である。
 
乱れている事態を明瞭に理解し、消耗的な葛藤を生産的な不一致に転換するためには、一旦我々に起っている一連の事件をより広い脈絡、すなわち、近くは改革政権10年の功過や膠着状態に置かれている87年体制の構造の中で、遠くは分断体制や世界体制の今後の行方と関連付けて把握する視点の移動が必要であろう。そして現在の葛藤と不和を恒久的な条件として受諾しないのであれば、これを克服する普遍的価値と社会の具体的な発展モデルに対する集団的模索も緊急課題といえよう。『創作と批評』が、これまで格別に心血を注いで築いてきた分断体制論、87年体制論、東アジア論、朝鮮半島の先進社会論等が抽象的な巨大談論ではなく、多様な社会的懸案と密着した具体的な悩みと戦略的思惟の所産であることを自負する理由もここにある。
 
多くの人が指摘しているように、韓国社会はいま開発独裁モデルから先進社会モデルへ移行する過渡期、分断体制を乗り越え、朝鮮半島統一社会へ進む巨大な転換期を通過している。このような過渡期的で、転換期的な状況が求める改革の方向、対案的モデルと戦略は決して単純で、一方的なものではない。反対のための反対や対案のない叱責ではなく、真摯な対案の模索がいっそう積極的で、充実に展開されなければならない時点に来ているのである。

 

 

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最近グローバル化の支配的談論として登場した新自由主義も、複合的な思考と戦略的態度で慎重にアプローチすべき問題の話題といえる。新自由主義はいまや我々に聞きなれた日常的用語になっており、多様な角度から新自由主義の功過を分析した専門的研究成果も少なくない。ところが、ある意味では新自由主義の概念と実体を正しく理解する基本的な作業さえ十分とはいいがたく、基本が不実であり、また気早な対案の模索は大衆的説得力を落とさざるを得ない。アメリカ式新自由主義的道だけが韓国社会の唯一の未来であるかのように確信する態度はもちろんであるが、「新自由主義」という用語の誤用・乱用の中で正当な改革の課題までが「新自由主義、反対」の掛け声に巻き込まれて失踪されることがあってはいけない。今号の特集に「新自由主義、正しく捉えて代案を探す」という素朴でありながらも、一見挑発的な表題を付けたことには、新自由主義に対する正しい理解と対案的展望にも充実に取り組もうとする企画意図が盛り込まれている。柳鍾一、金基元、鄭勝日、徐東晩、朴露子の5人の筆者が各々新自由主義の概念及びグローバル化との関係、金大中-盧武鉉政権と市場万能主義、新自由主義と対案体制の構想の点検、対案体制の模索と朝鮮半島の経済、そして大学社会に浸透している新自由主義の現状など、韓国社会の長短期的課題に関連する新自由主義の核心的論点を綿密に点検する。
 
常識と通念に対する抜本的省察を通して、対案的模索の内実を図ろうとする問題意識は、韓国の民主主義と統一談論、移住民と地球温暖化問題を取り扱った「論壇と現場」欄においてもそのままつながっている。金ソンチョルは、社会運動と民主化との関係をとらえるいくつかの仮定を再検討しながら、民主主義を情的な規範や制度ではなく、力動的な過程として把握する時のみが現実運動に対する正確な理解と理論化が可能になると力説する。李承煥は、6月抗争以後展開された市民社会統一談論の主要な流れを概観した後、国家的経路と区別される平和議題を確保することによって、南北関係の「省察的変化」を早めようと主張する。アメリカの移民法の波動に対し、多人種社会に入った韓国社会の移住民問題を省察した河勝彰の論文は、我々にこの「新しい」韓国人を迎える準備が整っているかという深刻な質問を投げかける。ジョン・ランチェスター(John Lanchester)は、作家らしいウィットと洞察力で地球温暖化の明白な危険を素知らぬふりをするいくつかの事例を提示しながら、地球レベルの構造変化を狙う即行の行動だけが迫ってくる災難を逃れる唯一の道であると忠告する。
 
久々に文学分野に回ってきた挑戦インタビューでは、女性評論家の沈真卿が最近新作の長編小説『パリデギ』を出版した小説家の黄晳暎を訪れ、理解と共感、衝突と論駁を行き来しつつ、興味深い対談を進めている。自発的な難民の経験と当代の現実に対する鋭敏な感覚を溶かして「詩的叙事」の形式に製錬する作業に没頭中である黄晳暎が、文学の危機または終焉と関連した様々な疑わしい噂にもかかわらず、「韓国文学は生きている」と力強く話す場面が非常に印象的である。
 
11人の詩人と5人の小説家に参加していただいた今号の創作欄では、巨匠の円熟さと中堅の堅固さ、新鋭の溌剌さに出会うことができる。とりわけ、『創作と批評』では初めて紹介される李承垣、慎鏞穆、朴相守、宋承桓、申美奈の詩、そして鄭美景、河在英の短編小説に注目してほしい。
 
韓国文学の先鋭な批評的論点を生産・深化させるための本誌の努力は今号においても続いているが、その焦点は叙情詩と労働詩という議題である。まず朴瑩浚は、一般に伝統的叙情詩に分類される高炯烈、金思寅、張錫南、文泰俊等の作品において表現された「詩的なこと」の形相を精密に再構成しながら、これまで詩壇の話題になってきた「未来派」との論争的対話を試みる。朴秀淵は、最近本誌を通して行われた金寿伊、高奉準の労働詩に関する論議に批判的にアプローチしつつ、労働詩は肉体労働と非物質労働に対する言語的形相化をすべて包括することができなければならず、労働運動の審美的実践としての労働詩はこれ以上可能ではないと宣言する。一方、金永賛は、『南漢山城』をはじめとする金薫の「歴史小説」に対する幅広い大衆的支持が「ポストIMF時代」の現実感覚、または政治的無意識と結びついており、彼の個性的な小説世界の中には2000年代の文学の行路を推測する重要な手がかりが入っていると診断する。
 
季刊誌レビューの模範的な形式として定着した寸評欄には10人の筆者が参加し、哲学と歴史、政治と宗教、文学と漫画にいたるまでの多方面にわたって一つ前の季節における注目できる単行本を取り扱っている。今号に参加してくださったすべての筆者に深く感謝しており、酷暑の中の筆者のご苦労が読者の楽しくて有益な読書につながることを祈願する。
 

 

 

訳: 李正連
 
季刊 創作と批評 2007年 秋号(通卷137号)
2007年9月1日 発行
発行 株式会社 創批
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