창작과 비평

新しい社会モデルと都市ビジョン: 住宅政策と再整備事業を中心に

2012年 春号(通卷155号)


特輯_2013年體制議論の進展をために

 


卞彰欽(ビョン・チャンフム)世宗大学校行政学科教授。著書として、『低成長時代の都市政策』、『危機の不動産』、『土地問題の正しい理解』(以上、共著)などがある。
changbyeon@sejong.ac.kr

 

 


1.ソウル市からスタートした2013年体制の試み

 

 

今年の1月30日、朴元淳(パク・ウォンスン)ソウル市長(以下、朴市長)は、就任後の三ヶ月における討論過程を経て、ニュータウン事業と再整備事業に対する新しい方向を発表した。「ソウル市のニュータウン・整備事業、新政策の構想」というタイトルが付けられたこの政策では、既存の所有者中心で事業性基準の全面撤去型の整備事業を、居住者中心で住居圏基準の共同体・村作り事業に転換すると明らかにした。この場で、朴市長は、ニュータウン・再開発事業で苦しむ市民に対し、市政責任者として公式的に謝った。多くのマスコミ(言論)側と市民側は、2002年、李明博(イ・ミョンバク)前ソウル市長が始めたニュータウン政策が公式的に失敗した事業であることを、10年ぶりに後任の市長によって確認された。またこのことは本格的な出口戦略を提示したことで評価されている。

問題は、今回発表された再整備政策は、ソウル市の意志だけでは絶対に実現されないというところにある。中央政府が、既存のニュータウン・再整備事業に対する認識を転換しなければならないだけでなく、ソウル市が新しい方向として提示した整備事業が推進可能できるように、予算を支援し、国会において関連法律を改訂してあげなければならない。しかし、ソウル市の政策の発表以後、国土海洋部は、ニュータウン事業の埋没費用の負担に対して反対の意志を明確にした。ニュータウン事業と整備事業は、土地などの所有者が組合を作り推進する民間事業であるため、政府の財政を投入して埋没費用を負担することが公正的ではないという。整備区域の過多指定に対し、社会の全体が責任を共有し、費用も分担すべきであるというソウル市の立場を受け入れられないということである。

こうした対立は、李明博政府と、政治家ではなく市民候補から当選したソウル市長の間における政治的葛藤を超え、再整備事業と住宅政策をどのように考えるのかに対する根本的な認識の差を表わしている。ニュータウン事業が今までのように推進されると、多くの問題点が出てくることには誰しもが同感しているが、この事業の方向を正しくするためには、大きな枠における権力再編が必要である。また、李明博政府が出帆した後、経済活性化と不動産市場の正常化という名分において推進されてきた政策手段を廃棄し、庶民の住居安定を保証できるように転換するためには、新自由主義を克服しようとする政治勢力が、国会において多数を占め政権を交代しなければならない。ソウル市は、全国の都市と住宅の分野において発生した問題と矛盾がもっとも集約的に表れる空間であり、同時にこの問題の解決の圧力がもっとも大きい地域でもある。ニュータウン事業は、ソウル市からスタートし国会の法律の制定を経て、都市再整備促進事業という名目で全国へ拡大されたが、ソウル市でニュータウン事業の問題がもっとも明確にされたため、その解決法をも提案しないとならない立場にあることだ。幸いなことは、朴市長がその仕事を担当することになったという点だ。すでにソウル市は、都市及び住宅政策に限っては、2013年体制の実験場で先導的な空間になっている。

 

 

2.都市不動産政策における旧体制の克服の課題

 

 

87年体制の不動産政策とその後

 

社会・経済の分野において、我々が克服すべき体制としてよく取り上げられていることが、87年体制である。韓国社会は、1987年に、大統領の「直選制」(直接選挙制度)に代表される「節次的民主主義」を達成したと言われているが、社会経済の全般にわたって、民主化を実現するための具体的な政策を整備していない。民主化勢力も独裁と反民主に対する抵抗を1次的な目標として形成されたため、代案的である社会経済秩序を導き出す主体として発展することはできなかった。

もちろん、この時期においても、社会的な平等と民主主義の質的な向上のため、新しいビジョンを設定し実践的な努力をすべきだという意識がなかったことはない。1987年の民主化闘争以後、活動家らは、労働、農業、都市などの各分野の実践の現場へ飛び込み、研究者と大学院生などは、社会経済体制の矛盾の克服と代案の準備に全力することになった。いわゆる学術運動と呼ばれる研究実践運動を旗幟として掲げた学術団体は、大半がこの時期に結成された。

都市不動産分野において、1987年以後の制度的基盤は、こうした実践的な努力よりは社会経済的な与件の変化のために形成されたものとして見るべきである。1980年代の後半から「3低好況」として、不動産投機と住宅価額の暴騰、「傳貰」 翻訳者注:「傳貰」とは、不動産の所有者に一定の金額を預けてその不動産を一定期間借りるときの関係をいう語。家賃を月々支払必要がなくその不動産を返すときは預けた金の全額が返済される。大乱が深刻な社会問題として台頭されると、政府は、1989年、「盆唐(ブンダン)」、「一山(イルサン)」、「サンボン」などの首都圏5か所の新都市の建設と住宅の200万号供給についての構想を発表した。その年に、定期国会においては、開発利益還収制、宅地所有上限制、土地超過利得税で代表される土地公概念3個法律を制定することにいたった。大規模の開発事業を通して開発利益を活用、基盤施設を拡充し、住宅を供給する新都市の建設方式は、その後から最近まで「膨張時代」に住宅問題を解決する代表的な手段として定着した。住宅の大量生産とこれをする需要促進政策、分譲住宅中心の公共住宅政策などが、この時期の政府の措置の特徴であると言える。国民賃貸住宅の建設と住宅バウチャー制度も発表されたが、実効性を持つことはなかった。

このような政策構造が持つ弱点は、経済危機を経てからその限界が明らかになる。1997年、IMFの管理体制下となり、分譲住宅中心の住宅供給の拡大へは、住居安定を実現することができなかった。公共賃貸住宅や住居給与のような伝統的な政策手段が活性化されなかった上に、住宅需用の委縮で正常的な住宅供給までも不透明な状況だった。国家的な経済危機の中で都市不動産分野は、勤め口の創出と市場活性化のための手段として認識され、優先的に規制緩和の対象となった。これによって、土地公概念として代表される一連の制度らは、大半が廃止されたり対象が縮小されたりした。この時期に発表された政策は、李明博政府が2008年の世界経済危機以後に発表し推進してきたものと似ているが、小型住宅の義務供給制度の廃止や分譲券の 翻訳者注:「傳貰」とは、不動産の所有者に一定の金額を預けてその不動産を一定期間借りるときの関係をいう語。家賃を月々支払必要がなくその不動産を返すときは預けた金の全額が返済される。 翻訳者注:「請約」とは、 有価証券などの公募または売り出しに応募して引受契約を申請することを言う。資格の緩和、民間賃貸住宅の事業者の資格の緩和、譲渡所得税や登録税の減免などであった。この政策を施行した結果、不動産市場の極端的な破局は避けることができたが、参与政府が出帆した2003年から2006年まで、不動産価額が暴騰する原因となった。

 

克服すべき旧体制の構造と限界

 

金大鎬(キム・デホ)は、1987年以後の25年を省察しながら、我々が当然視してきたこと、すなわち、哲学・価値・制度・理念などを旧体制(ancient regime)と断言したことがある 。 金大鎬(キム・デホ)『2013年以後:希望コリアの行く道』ベクサン書堂、2012年。朴市長が、ニュータウン対策を発表した際に、「我々が慣れてきていることから決別してみよう」と提案したことも、同じ脈略である。都市住宅分野において、我々がもっとも慣れてきているもので、必ず克服すべきことは何なのか。

1987年以後定着され最近まで都市開発事業を正当化してきたものは、住宅供給拡大を通した市場安定化の論理であった。住宅供給を拡大すれば、価額が安定され住居問題が解決されるということだ。ここで、住宅政策の核心的な指標は、住宅の量を評価する住宅補給率や一人当たりの住宅面積、人口1000人当たりの住宅数などである。住宅の建設だけが伸びるとこの指標は高くなり、住居安定という政策目標は、自動的に達成されると考えられる。

住宅供給は、首都圏の外郭の新都市建設と、既成の都市内の再開発事業という二つの方式が競争的に活用されてきた。1980年代末、1期の新都市に続き、参与政府においては首都圏外郭の2期の新都市建設を通して、住宅問題を解決しようとした。他方、ソウル市は、規制緩和を通して、後者である既成の都市内の住宅供給を推進した。これが、いわゆるニュータウン事業である。2期の新都市は、ソウルの都心からの距離が遠くなった上に、住宅需用が委縮され競争力が落ち始め、ニュータウン事業も、過度なる区域指定や住宅需用委縮にともなう事業性の不足で、全面的に再検討の対象となってしまった。

次に強調されたことは、私有財産権に立脚した都市開発事業と住宅政策である。 朴市長は、ニュータウンの出口戦略を発表した際に、所有権中心の事業を、住居権中心の村共同体の活性化に転換しようとした。今まで開発事業は、財産権を保有した土地などの所有者だけを事業主体として認め、「貰入者」(賃借人)は、補償の対象としてだけ規定した。ニュータウン地区の場合、全体の居住者の約72%が 「貰入者」であるにも関わらず、家主と土地所有者だけが推進委員と組合員になれるという再整備方式を根本的に変えようということだ。所有者の財産権と、居住者の住居権が対立する際に、住居権を優先視するという原則は、既存の開発事業や再整備事業の慣行からみる時、革命的な宣言といえる。こうした事業構造が可能となるためには、憲法に保障された住居権を住宅法や個別の開発法から具体化できるように関連規定を全面的に改編しなければならない。

それから、政府の財政投資なしで推進している住宅供給と再整備政策の構造を転換すべきである。宅地開発事業は、政府が財政支援をしないために収益性が確保される地域だけに推進される。再整備事業も民間によって遂行されるという理由で、公益性ではなく事業性によって推進可能かどうかが決定される。このために、住居環境が良くない地域だけでなく、収益性の高い地域が優先的に整備される現象が表れる。整備が急がれている地域も事業性が足りなければ疎外されることになる。

住宅供給の拡充と自家住宅の増大、収益性中心の開発事業をサポートする主な論理は、建設産業の活性化論である。建設産業は、住宅供給において革新的な役割を担当しているだけでなく、景気沈滞期に勤め口を創出し経済を牽引できるため、建設景気を扶養しなければならないということである。建設産業の育成を目標とした住宅政策の論理は、開発方式や時期、規模などを決定するのに重要な基準となる。このように不動産市場を持続的に膨張させることが、まるで市場正常化と住居安定をもたらす方案であるとされてきた。

 

 

3.「新正常時代」の都市開発

 

 

住宅市場の正常化

今まで歴史の政府は、住宅政策の目標を、住宅市場の安定と住居水準の向上に設定してきた。住宅市場の安定とは、住宅価額の変動幅を最小化することを意味するが、これは住宅市場の正常化とも言える。特定の時期に住宅価額が下落すれば需要を促進し、住宅価額が上昇すれば住宅金融や税制などを通して需要を抑制することが代表的な方法である。

ところが、住宅市場の正常化とは、価額水準の安定だけでなく、住宅市場の構造と性格を決定する確信価値としてされてきた。李明博政府は、その間、不動産政策を発表した際に、常に不動産市場を正常化すべきであると主張した。不動産市場が正常でなければ、正常化することが当然であるが、実際には、不動産市場に対する適切な管理と規制を排除する論理に変質されてきたことである。その間、李明博政府は、不動産市場の正常化を名分として、参与政府期間に導入した各規制を緩和し、総合不動産税や譲渡所得税、負担金を減免し、建設産業の支援政策を実施してきた。こうした措置を市場正常化とするなら、参与政府期間に採択された不動産制度はすべて非正常的であると見なすこととなる。

今までの住宅政策は、どんな状況を正常的であると見なしてきたのか?不動産市場の正常化とは、価額上昇期よりは、沈滞期に価額が再上昇したり引取が活性化されたりすることを意味する場合が多い。不動産価額が、世帯主の購入能力を超えるレベルで設定されていても、この価額が下落したら非正常的な状態として認識に、上昇を誘導する政策を推進する。また、韓国は、世界でもその例を探せないほど、不動産の取引頻度や移住比率が高いが、前年度や最高頻度の取引年度に比べて、取引の数が少なければ、不動産市場が「死んだり凍ったりした」と考える。

また、全国で、数千箇所の整備区域が同時に指定され、再整備事業が推進されているとしても、事業の進みが遅れたら、非正常であると見なす。ニュータウン地区の場合、全体の住民の大半が、借家人として構成されていても、大家だけで推進委員会や組合を結成し、分譲住宅中心の住宅を建設し分け合うとしても、正常的な財産権行使とみる。数十年間、商店街で店舗を開き商圏を発展させたとしても、土地主や店舗主ではないと、店舗に対するどんな権利も行使できないことも、私有財産権の政党なる行使として考える。

不動産市場の正常化という概念には、高成長時代又は不動産膨張時期の価額レベルで上昇すること、不動産価額が投資家の収益率を確保できる程に上昇すること、不動産が商品として活発に取引できることが全て含まれている。この概念には、無住宅者の負担能力や借家人の犠牲、店舗借家人の努力などは含まれていないことである。

 

新正常時代の登場と既存の開発の限界

 

過去の膨張型の不動産開発のパラダイムが、これ以上存続されにくい与件が到来している。経済が成熟期に入り、昔のような急速なる所得増加は不可能となり、経済規模が大きいとしても、これ以上は安定的な勤め口は増えない構造に変わっている。人口構造の変化も、膨張型の不動産開発を難しくしている要因であろう。全体人口の15.2%にいたる韓国のベイビーブーム世代(1955~1963年生まれ)の引退が、2010年から本格化されることによって、不動産購入需要が急激に委縮されている。これとともに、低出産(少子化)・高齢化による総人口は、2018年から主要住宅需用層である40~50代の人口比率は、2015年から減少すると予想されている。

その間、各種の開発事業を主導し需要を創出してきた公共部門が負債累積と財政赤字で、過去の役割を果たすことが難しくなった。李明博政府の減税政策と不動産市場の委縮による関連税収の減少まで重ね、人為的に開発需要を創出能力も喪失してしまった。結局、市場や住民の購買能力が拡大される時まで、事業の推進を遅らせるか住民の購買能力に合う代案的な不動産商品を開発しなければならない。

韓国社会は、これまでに、地域、世代、階層、企業規模によって両極化が固着され、安定的な成長の潜在力が落されてきた。この両極化には、首都圏への利益集中、現世代による未来支援の過度な使用、上位階層中心の開発制度による下位階層の過度な負担、大企業の中小企業に対する不平等取引などが含まれている。世界経済も、長期的低成長、低消費、高失業を特徴とする「新正常(new normal)時代」を迎えることとなり、海外部門に頼っている韓国の経済も成長低下の圧迫を受けざると得ないのだ 。 趙明来(ジョ・ミョンレ)「低成長と都市パラダイムの転換」、 趙明来外『低成長時代の都市政策』ハンウル、2011年。

したがって、これからは、不動産市場における「新正常」とは、過去のバブル成長時代の膨張志向的、破壊志向的、規模志向的な開発と成長を避けることを意味する。むしろ、両極化と雇用のない成長、開発需要の不足と開発利益の喪失という現実において正常的な姿を見つけるべきである。バブル価額や開発利益に頼らず、共存を通して社会的資産を形成し、これを通して力量を育てる代案的な成長を目標とするべきである。

人口構造が急変し、低成長が一般化される新正常時代には、一部の地域を除けば、既存の開発方式で正常的な事業推進が不可能である。十分な開発利益が発生しないため、事業の推進力を得られにくく、外部の誘致のための商品を作るためには、需要が委縮しすぎているためである。新しい開発方式を導入し、新しい開発主体が必要である理由は、まさにここにある。

 

都市共同体が中心となる都市開発

 

この間、韓国の都市は、不動産の商品開発と住宅建設のための空間に過ぎなかった。長期的なビジョンや持続可能性ではなく、個別事業の妥当性を基準として開発されてきたのである。都市開発の目的は、村共同体ではなく、不動産の商品を作ることであった。この過程において、住民は消え去り、土地と建物の所有者だけが残った。数十年間居住し営業してきた借家人は排除され、外地の所有者が主体となって村の運命が決定されてきた。

これからの都市開発事業は、住民が共同体のために互いに学習し交流する場となるべきである。都市開発の過程において作られた商品は、標準化された不動産の売り物ではなく、都市の歴史と文化に基づき助成・差別化された場所にならなければならない。また、短期的に収益性が足りないために、開発後、清算する事業構造になりにくく、持続的に管理運営する方式が採択されるべきである。

また、これからは、旧体制による開発と決別し、住宅政策の方向を再設定しながら新しい整備方式を考えなければならない。この点において、朴市長が提示した居住者中心、住居圏中心、共同体・村作り事業としての再生政策への転換は、正しい方向であることは間違いない。これを通して、住民の手で、福祉、生態、勤め口作りが揃えた村共同体を作るべきである。この村は住民参加の実験場であり、自己実現の空間であり、分権の最小単位として再び生まれるべきである。小さい村が集まり生活圏が形成され、基礎自治団体となり、都市となる。村は、融合と疎通を通して、不安と断絶の問題を解決できる。

これによって住宅政策の主体は、市場と公共部門の退屈なる対立を克服し、代案的な主体を形成すべきである。その間、住宅政策をめぐる論争は、市場を強調すべきなのか、公共の役割を強調すべきなのか、政策方向の側面においては供給拡大を志向すべきなのか、需要抑制を志向すべきなのかによって、大きく、「市場志向的住宅供給・開発拡大主義」と「公共介入型成長管理・需要管理主義」が対立されてきた。市場志向は、住宅市場において両極化と住居不安を生み、公共介入は、財政能力の限界で役割が縮小されている。これからは、社会的経済の主体を新しく設定すべきである。

 


4.住居安定のための都市・住宅政策の課題

 

 

住居安定性指標の改善

 

現在、全国の自家住宅の占有率は、2005年の55.6%よりむしろ落ちており、2010年には、54.2%に過ぎなく、首都圏は46.4%、ソウル市は41.1%でより低い方である。住宅の持続的な建設にも関わらず、世帯分化で1~2人の世帯が急増することで、自家住宅に居住する比率がむしろ縮小されている。その結果、全体の世帯の中において、安定的に住居を保障される比率はもっと減っている。

住宅政策の最優先的な価値は、住居安定を確保することから見出すべきである。これのためには、新しい評価基準を設定しなければならない。今まで、住宅政策の核心的な指標であった住宅補給率や一人当たりの住宅面積、人口1000人当たりの住宅数と異なり、安定的に住居を保障される世帯の比率を測定することである。

この比率を高めるためのもっとも確実な方法は、自家住宅保有を増やすことである。しかし、急激な自家住宅の促進政策は、住宅価額の上層を誘発し、むしろ住居の不安定をもたらすことが、2000年代の初めの以後のアメリカやイギリス、スペインなどの事例を通して確認できる。また、この政策は、個人が住宅を購入する意志と能力がないと不可能であるため、政府が動員できる手段は、お手頃な住宅の供給を誘導することである。したがって、自家住宅の占有率を通した住居安定には限界がある。

次には、公共賃貸住宅の在庫の拡充である。公共賃貸住宅の確保は、進歩と保守の見解差を超え、低所得層の住居安定のための万能キーとして評価されているが、賃貸住宅の建設のための財源と敷地の確保、管理運営費用、入居者選定などにおいて、多くの時間と費用が所要される。セヌリ党(旧ハンナラ党)も、公共賃貸住宅の長期的目標として、全体の住宅在庫の12%を設定しており、民主統合党は15%、民主労働党は20~30%のレベルである。しかし、全体の住宅在庫が持続的に増えている点を考慮すれば、賃貸住宅の過度なる目標設定は現実性が足りない政治的スローガンに過ぎない。現実では、2014年までに、全体居住世帯の比率の基準で7%、2018年までに10%に設定し、民間の賃貸住宅に対する管理を通して借家人の住居安定問題を解決すべきである。

 

民間賃貸住宅の管理を通した住居安定の保障

 

公共賃貸住宅を通して保障されない借家人の住居安定のためという趣旨として提案されたことが、契約賃貸住宅である。これは、ソウル市が長期安心住宅という名称で制度化したものである。また、「傳貰」住宅及び「月貰」 翻訳者注:「月貰」とは、月払いの家賃を言う。住宅の賃貸人が、賃貸住宅や住宅のなか、一部に対して地方税や賃貸所得税、譲渡所得税などを減免されたり、自治体及び国民住宅基金の支援を受けたりして、建築、修理、リフォームなどをする場合、義務的に、一定の賃貸料の値上げ率で長期賃貸をするよう、自治体と民間の賃貸住宅の所有者が協約を締結するものだ。長期的に契約賃貸住宅は、民間の賃貸住宅の10%、全体住宅の5%以上に拡大する必要がある。民間の賃貸住宅の借家人の安定的な住居権を保障してもらうためには、まず賃貸用として使用するすべての住宅の登録を義務化すべきである。賃貸住宅の登録は、多住宅者に賃貸所得税の付加を意味しているために、負担として作用される可能性もある。社会的合意を経るべきであるが、短期的には、民間の賃貸住宅として登録した住宅に対してだけ、多住宅保有による譲渡所得税などを緩和し、賃貸所得税は付加し賃貸住宅の透明性を確保しなければならない。

次に、賃借人の再契約権を保障する契約更新請求権を導入すべきである。特別な理由がない限り、賃借人が大家に賃貸借契約の更新を請求できる権利を保障する制度である。ドイツの場合、自家住宅の居住率が40%になるが、比較的、住居安定が確保される理由は、準公共機関が運営する賃貸住宅や契約更新請求権を認めているためだ。これとともに、現在、2年の契約期間の間だけに適用される年間5%の賃貸料の上昇率制限も更新される契約期間内に保障される必要がある

 

整備事業の改善方向

 

これからの再整備事業は、物理的な環境の改善や住宅供給を目的とするものではなく、社会的・経済的にも恵まれていなかった状況におかれている地域と住民を対象とする地域福祉事業として、また、住民の居住用件とともに生活与件、就職、教育などを総合的に整備する地域の再活性化事業として推進されるべきである。したがって、再整備事業は、勤め口作りとコミュニティビジネス及び社会的企業の育成などの生産的福祉と教育環境の改善のような「勤労福祉連携の住居地再生事業」として改編される必要がある。

再整備事業の推進目的を住民の住居福祉と地域共同体の活性化に焦点を合わせるなら、原住民の再定着率が重要な評価基準になると考えられる。小型住宅と賃貸住宅の供給、所得規模別の賃貸住宅の賃貸料の差等支援、循環再開発及び段階的開発などの原住民の再定着率を高める方案である。このためには、公共部門による事業推進や公共支援が必須的である。

公共部門が、整備事業を主導したり公共支援が拡大されたりするためには、事業地区の指定や事業施行にその優先順位を決めるべきである。これまでのように、物理的な老朽度などによる一定基準以上の整備区域を指定し、事業性によって整備事業の推進の優先順位が決定されては困る。優先順位の基準としては、建築物の老朽度と戸数密度、過小筆の土地などの物理的な基準を前提に、地域住民の平均所得、就業率や雇用率、借家人の比率、最低住居基準の未達世帯の比率、基礎生活受給者の比率など、社会的・経済的な与件を総合的に考慮し決定する必要がある。

現在、施行中である整備区域に対しては、全数調査を通して総合順位を付与し、年次別施行計画を樹立すべきである。再整備事業にそのスピードの調節が必要であることだ。今回、ソウル市が発表した実態調査委も、こうした脈絡において推進される。

 

整備事業の推進と支援のための組織体系

 

都市環境の改善や、住宅供給の目的だけのための整備事業を推進するには、この事業が空間構造や住民の住居安定に及ぼす影響がもっとも大きい。この事業は、都市の構造改編と競争力を高めること、勤め口作りなどのための総合的な再生事業として理解すべきである。これのためには、住宅建設の拡大や建設産業育成という制限された目標を持って、整備事業を推進する国土海洋部より、より大きい眼目を持つ機構が全体の事業を主管する必要がある。整備事業においても、都市の競争力と自営業の育成、教育と文化施設の拡充、住居福祉の問題を総合的に考慮すべきである。大統領直属又は総理室傘下に「都市再生本部」(仮称)を設置し、総合的な整備事業として発展させることも一つの代案であろう。

自治体次元においては、都市再整備に対する総合的な計画と、圏域別の細部計画を樹立し、事業の推進過程において、透明性の確保と行政支援のための「都市再生支援団」(仮称)を設置すべきである。この機構は、都市の総合的な整備を総括する役割を担当するため、政府次元において運営される総合機構として稼働されるべきである。ソウル市の場合、再整備事業の全体は、既存の住宅政策室において担当され、中間支援組織として都市再生支援センターを設置し運営する計画である。

 

中央政府及び自治体の財政投資の拡大

 

この間、住宅政策は、民間部門や公社が開発利益を活用し、財源を調達する方式として推進されてきたため、国家の財政投資がほぼなかった。しかし、最近、不動産市場の沈滞で開発利益が発生しないだけでなく、国家公社や地方公社の負債累積で持続的な再投資も難しい状況となり、財政支援が切実に必要となった。2011年、国土海洋部の予算のなか、都市再整備事業の支援のための財源は500億ウォンに過ぎなく、国民住宅基金も賃貸住宅や分譲住宅建設の支援、住宅購入の融資支援などに主に配分され、再整備事業に対しては住宅改良資金の支援金が100億ウォンに止まった。

最近、ニュータウン事業の不振により、基盤施設の設置費用に対する中央政府の支援の要求が拡大されている。この間、政府は、この部門において殆ど予算を編成しなかったために、財政的な余力がなかっただけでなく、どこにどういった基準で支援すべきであるか、その恵みが誰に還元されるのかに対する明確な基準すらも準備できていなかった。したがって、これから地域再生事業に、年間2兆ウォン以上の予算を反映し、本格的に推進できるように支援する必要がある。全体の再整備事業に対する総合調査及び評価を通して、支援の優先順位を定め、順位が高い地域から順次的に執行すべきである。広域自治体は、義務的に都市再整備の特別会計を拡充し、基礎自治体は住居環境の整備基金を拡充し、安定的に再整備事業が推進されるように支援すべきである。

 

社会的主体が参加する再整備モデル

 

現在の住宅再整備事業の問題点を克服する方法は、公共部門に主導し整備事業を施行しながら、政府と自治体の財政的な支援を拡大し、事業の公共性を確保することである。しかし、公共部門がすべての整備事業に参加する余力がないこともあるし、また公正的ではないこともある。これに補完することが、準公共団体が参加するという方案である。土地などの所有者が所有権に基づいて設立する組合ではなく、地域住民と自治体、公共機関、ボランティア組織、専門家、民間企業、NGOが持続可能な発展と住民の住居安定のために、他の住宅開発及び管理主体を設立する必要がある。

オランダでは、住宅協会が、低所得層のための住宅の供給と改良及び補修、公共賃貸住宅の新築などの再整備事業を推進する主体として活動している。また、基礎自治体別に、2~3箇所以上の非営利住宅協会が社会住宅を建設し管理する 。 Ouwehand, A. & G. van Daalen, Dutch Housing Associations: A Model for Social Housing, DUP Satellite 2002. 韓国語訳『貧しい人々のための不動産開発:オランダの住宅政策と住宅協会』住宅発電所訳、ハンウルアカデミー、2005年。これとは異なるが、アメリカでは、非営利組織であるコミュニティ開発会社(CDC)が再整備事業を担当してきた。この会社は、住居地域の再整備だけでなく、産業団地及びショッピングセンターの建設、保育と職業教育など総合的な地域開発を志向している点において、他の整備機関と異なっている。

これら非営利住宅機構の役割は、住宅の供給と改良、賃貸住宅の供給と管理などにおいて、韓国の住宅公企業(LHなど)と大きな差がない。ただし、これらの組織は、公企業というより自発的社会運動組織の拡大であり、したがって営利や事業規模よりは、住民の参与と共同体の維持を重視する。住宅協会やコミュニティの開発会社は、開発事業と賃貸住宅の管理を遂行する主体というより、公共と民間の様々な主体とパートナーシップを結び、地域共同体を育成するのに焦点を合わせている。これから、韓国においても、こうした社会的主体が全体の住宅在庫の10%以上を供給し管理できるように制度的な基盤を構築すべきである。

今日、韓国の経済構造が、輸出中心・大企業中心に再編されてから、社会の両極化がより深刻になっている。全国的では首都圏と地方、首都圏ではソウルと周辺都市、ソウル内においても江南とその他の地域間の格差が、益々大きくなっている。このような格差と両極化を解消するためには、全体から部分をみることではなく、部分から全体を見る目が必要である。村は、その部分のもっとも小さい空間単位になるだろう。村の中における職、住居安定、都市再生、社会的疎外などを解消できれば、我が社会全体の参与と福祉、就職の問題をともに解決できると考えられる。

 

翻訳: 朴貞蘭(パク・ジョンラン)
季刊 創作と批評 2012年 春号(通卷155号)
2012年 3月1日 発行

 

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