창작과 비평

[論壇]南北経済協力事業の新しい活路/崔鎔燮

 

創作と批評 192号(2021年 夏)目次

論壇

 

南北経済協力事業の新しい活路

―B2Bプラットフォームの構築による経済協力活性化のあり方―

 

 

崔鎔燮

鮮文大学国際関係学科教授。論文 「Overcoming the Division Bloc and Its Limitations」、著書『財閥のためにあなたが犠牲した15項目』などがある。willphin@gmail.com

 

 

1.はじめに[1.本稿は、統一部からの支援を受けて行われた研究『非核化の進行に伴う北朝鮮の経済発展経路の展望及び政策課題』において、筆者が作成した内容に加筆・修正したものである。]

 

   既存の南北経済協力(以下、南北経協)は、市場性より韓民族間の協力という当為性が強調され、政府が南北経協事業の全般に深く介入し、民間の自律性を大きく制約した。また、北朝鮮は韓国との経済交流が北朝鮮体制を危うくさせるのではないかと、非常に慎重な態度を取りながら、「蚊帳式政策」に基づいて南北経協に参加する経済主体を少数に止まらせており、地域的にも主要な事業を平壌、南浦及びその周辺や金剛山、開城等の接近地域を中心に制限した。その結果、南北経協の効率性及び波及効果は非常に制限的であった。 

   比較的よく知られているこれらの問題に加えて、本稿では、とりわけ既存の南北経協が政府主導で多くの部分が国民からの税金を財源によって進められたものの、実際韓国経済に及ぼした影響は極めて少なかったことに注目する。例えば、南北経協が活発に行われていた2006年の状況をみると、南北経協が北朝鮮の対外貿易に占める比重は約31%だったことに対し、韓国の対外貿易に占める比重は約0.0002%に過ぎなかった。また、委託加工貿易及び開城公団等の協力事業に参加した韓国の企業数が非常に少なかったため、南北経協によって収益がある程度発生したとはいえ、その受益者は極めて限定的であった。

   南北経協を通じて、北朝鮮はもちろん、韓国も豊かな国につくり、それを媒介にして統一を早めることは、分断以後数十年間続いてきた多くの人々の願いだったが、1998年以後南北経協が本格化した状況に至ったものの、現実はその期待値に達していない。1980年代以来拡大してきた南北間産業構造の違い、経済発展段階の格差等によって、韓国が北朝鮮との経済協力から得られる経済的利益は期待よりはるかに少なくなった。これは、一般国民にとって南北経協は相互互恵的な取引ではなく、北朝鮮に対する一方的な支援策という認識を植え付けてしまい、とりわけ保守支持層を中心に否定的評価が広まった。

   現在の南北経協関連の論議及び研究における問題点の一つは、何より新鮮味がないという点にある。すなわち、周辺環境の急変にもかかわらず、過去2000年代初めのフレームと内容からなかなか抜け出せていない[2.イ・ヨンフン「平和と革新の観点からみた南北経協」『統一政策研究』28(1)、2019。] 。これに対して、筆者は新しい解決策を模索するために、情報通信技術(ICT)を活用した有機的な連携を通じて、南北両者の経済発展を図る南北経協事業のあり方を提示したい。本稿では、具体的に市場の長所を最大限活用し、北朝鮮における市場基盤の南北経協の波及効果を極大化し、韓国における革新基盤の経済成長と南北経協とを有機的につなげるための方法として、B2B(Business-to-Business)プラットフォームを媒介とする南北経協事業を提案する。

 

 

2.B2Bプラットフォームを通じた南北経協

 

   B2Bプラットフォームを基盤とする商取引は、企業と企業が取引の主体となって、一つのプラットフォームに多数の販売者及び購買者が接続して取引する方式である。最も知られているB2Bプラットフォームであるアリババ(Alibaba)を例として挙げれば、もし韓国のある企業が韓国及び海外市場に販売するワイヤレスイヤホンを生産してくれる中国製造業者を探したい場合、アリババ(www.alibaba.com)の検索バーにwireless earphonesを入力すればよい。筆者が検索してみた結果、2021年4月3日基準で111,472製品が検索された。そこからお気に入りの製品と価格を確認した後、イメージをクリックすれば製品及び当該業者に対するより詳細な情報を確認することができる。契約したい業者があれば、公開されている連絡先に問い合わせてから、以後契約を進めればよい。一般的には様々な業者と接触しながら、それぞれの条件を比較・検討してから一社を選択する。

   仮称「南北B2Bプラットフォーム会社」のB2Bプラットフォームも、検索を通じて南北業者間相互の事業パートナーが見つかる情報を提供する。例えば、韓国の既存の企業や新しく事業を始めたい個人が、固有のデザインが入った鞄を造る北朝鮮の製造業者を探したい時、B2Bプラットフォーム上の検索だけで簡単に業者を見つけることができ、その後当該契約を進めることができる。北朝鮮の企業及び個人も、同様にB2Bプラットフォームが提供する情報を基にして、韓国企業と連絡を取り、パートナーシップを結ぶことができる。例えば、ある北朝鮮の企業が数年間の委託加工生産の経験で鞄を上手く製作できる場合、B2Bプラットフォームに登録されている韓国の鞄販売業者に連絡して、合営・合作推進の可否を打診することができる。

   B2Bプラットフォームによる企業間のつながりがアリババによって初めて試みられたわけではないが、アリババが前例のない成功を収めた理由の一つは、何より中国と他国の生産単価の差にある。中国の安い生産費用、そしてそれによる低い生産単価は世界各国がアリババを媒介にして、中国の生産施設にアプローチし、それを通して自国の事業アイデアを現実化することを可能にした。世界各地の小規模企業及び個人もアリババを積極的に活用することによって、少ない資金で事業を始めることができ、また高い利潤率で多くの利益を収めることができたのである。

   韓国でもアリババのようなB2Bプラットフォームを通じて創業を活性化しようとする試みがあったものの、国内生産業者が十分な販売利潤率を担保するほどの低い生産単価を提供することがなかったので、活性化しなかった。ある事業(希望)者が既存とは違う付加価値を与えることのできる新しい製品アイデアを持っており、それを具現してくれる生産業者をB2Bプラットフォームを通じて探そうとしても、生産業者がすべて(競争力があると判断される価格に比べて)高い生産単価を提示すると、当該事業に参入しがたい。つまり、B2B市場の活性化、そしてそれを通じた「創業の日常化」は生産単価がカギとなる。それゆえ、生産費用が中国及び東南アジア国家に比べて安くない韓国内ではB2B市場の活性化が容易ではない。

   北朝鮮の製造業者とB2Bプラットフォームを媒介にパートナーシップが結ばれる場合、低い生産単価で提供され得るので、良いアイデアを持つ企業及び個人が簡単にその構想を現実化し、収益を創出することができる。南北経協は、選ばれた少数のみが参加する事業であり、一般人が参入するには敷居が高すぎるという現在の「常識」を変えることができる。

 

 

3.北朝鮮内のB2B生態系

 

   B2Bプラットフォームを通じた南北経協が活性化されるためには、単にそのプラットフォームを通じた取引そのものだけではなく、様々な分野のインフラが一つのB2B生態系として構築されなければならない。もちろん対北朝鮮制裁の緩和及び解除以後、南北経協と外国の対北朝鮮投資が活性化すれば、北朝鮮内の関連インフラがしっかりと構築されると思われるが、私たちは単にそれを待つのではなく、現在の北朝鮮の諸般状況を最大限活用しながら、それをB2B生態系としてつくりあげていく必要がある。以下では、それと関連してB2B生態系の核心といえる(参加)企業、物流、決済、そして通信ネットワークを例にして説明したい。

 

(1)企業:トンジュが主導する市場基盤創業の活性化

   現在、北朝鮮では市場化の急進展によって以前は見られなかった新しい市場基盤の経済活動が広がっている。特に、「トンジュ(金主)」と呼ばれる個人資本家は金融業(消費者金融)のみならず、国家所有の施設を借りて、直接労働者を雇用して製品を造るなど多様な領域において市場基盤の経済活動を牽引している。2015年、北朝鮮離脱住民を対象に行ったアンケート調査によれば、飲食店の約65%、商店の約57%、地方産業工場の約26%、中央工業工場の約21%をトンジュが運営していることが明らかになった。トンジュが北朝鮮経済に占める比重は金正恩委員長の執権期にいっそう高まったが、平壌の倉田通り、銀河科学者通り、衛生科学者住宅地区、未来科学者通り、黎明通りなども、トンジュが国家機関の名義を借りて投資し、中国から迅速に建築資材を調達して短期間に完工させたという[3.「『82階マンション』北朝鮮の黎明通り、1年で完工―秘訣は『トンジュ』」『ハンギョレ』2019.1.27。] 。

   B2Bプラットフォームを通じた南北経協が始まれば、北朝鮮内の高級官僚らが直接・間接的に運営する企業が関心を示すと思われるが、彼らの数は多くないため、北朝鮮全域基準の波及効果はそれほど大きくないだろう。カギはトンジュらであり、彼らは事業初期から積極的に南北経協に参加すると予想される。韓国企業と共同で事業を推進すれば、国家に一定の利益金を出すとしても得られる利益規模が相当大きいからである。平壌市内のマンション団地の建設におけるトンジュらの役割を鑑みれば、金になる事業に対する関心、熱情、そして何より当該事業を完遂する能力は、他の資本主義国家の起業家とさほど変わらない。例えば、トンジュらは既存の北朝鮮内企業を活用する方式を超え、収益可能性を見据えて新たに企業をつくることができる。彼らはこれまでつくってきた高級階層とのつながり及び事業経験を基にして、B2Bプラットフォームが媒介する南北経協を北朝鮮の経済システム内に安定的に定着させるのに重要な役割を果たすであろう。

   すでに北朝鮮においてもオンライン経済活動は目新しいことではない。例えば、最近(イントラネット基盤の)オンラインショッピングモールがスピーディーに広がっている。現在北朝鮮の住民はパソコンやスマートフォンを活用して「万物商(よろず屋)」「わが国」「玉流」等のオンラインショッピングモールで靴、化粧品、食品、医薬品などを国家中央銀行が発行した電子決済カードで購入しており、販売業者に商品に対する問い合わせを書き込むことができ、販売業者間の価格競争も活発だという。このような状況で、北朝鮮当局の主導の下でオンラインプラットフォームを活用した南北経協が始まれば、トンジュらは関連事業に積極的に参入すると予測される。南北経協に参加する北朝鮮の企業数及び事業規模が増加するのは、北朝鮮内市場の拡大と軌を一にするため、トンジュらの活発な南北経協への参入は今後北朝鮮市場経済の発展に決定的な役割をするであろう。

   B2Bプラットフォームを媒介とする南北経協が活性化すれば、プラットフォームを通じて直接韓国の企業とパートナーシップを結ぶ北朝鮮事業者の周辺に新しい企業も多くつくられるだろう。例えば、韓国企業と契約した北朝鮮企業に製品とサービスを供給する協力業者が生まれ、また必要時にこのような協力業者に製品とサービスを供給する小規模業者も生まれるであろう。B2Bプラットフォームを媒介とする南北経協が発展すれば、このような業者が北朝鮮内のいたるところに生まれ、私たちは彼らを「北朝鮮型郷鎮企業(小規模の農村企業)」と呼ぶことができる。このような方式の市場基盤生産活動の増進は北朝鮮内市場経済の発展を速いスピードで拡大及び促進するであろう。

 

(2)物流:ソビ車と携帯電話の活用

   B2Bプラットフォームを通じた南北経協のために、長期的に北朝鮮の港湾・空港施設及び道路・鉄路の現代化、そして南と北の境界地域を道路・鉄路でつなげるプロジェクトの完成等が必要であるが、短期的には今の北朝鮮の運送及び物流インフラに対する積極的な活用が求められる。とくに、B2Bプラットフォームを媒介とする南北経協は北朝鮮の海岸線や南北の境界地域と遠く離れている内陸地域の企業との協力も重要視するため、北朝鮮全地域の運送及び物流インフラの現状を検討してみる必要がある。

   これと関連して、とりわけ北朝鮮型運送及び物流革命をもたらした「ソビ車」が注目される。サービスと車の合成語である「ソビ車」とは、お金をもらってバス、貨物車、軍用車、オートバイ、タクシーなどを利用して物を運搬してくれるサービスを指す。1990年代半ばから登場したものの、初期には発展が非常に遅く、2000年代半ば以降携帯電話の普及が本格化することによって市場が急激に拡大された。現在、北朝鮮における携帯電話の加入者は500万人を上回っていると知られている。過去エネルギー難によって時刻通りに運行しない汽車に乗って直接チャンマダン(野外市場)を回る行商人に頼っていた北朝鮮内の商業はもはや姿を消し、現在は携帯電話の注文で便利に物を送り、受け取ることのできる新しい運送及び物流サービスを通じて、商業が急激に発達している[4.現在は北朝鮮全域にわたってソビ車が活発に運行されており、その結果事実上定価制で運送料金が決められている。例えば、両江道恵山からソビ車を利用する場合、咸興までは120ドル、元山までは150ドル、そして平壌までは300ドルの料金を払えばよいという。 Yon-ho Kim, “North Korea’s Mobile Telecommunications and Private Transporta-tion Services in the Kim Jong-un Era,” HRNK Insider, 2019.1.] 。

   B2Bプラットフォームを通じた南北経協が活性化すれば、次のような状況が生じるため、北朝鮮内の運送及び物流サービスの需要は爆発的に増加する見通しである。

 
① 韓国業者が素材・部品・装備等を北朝鮮の業者に供給しなければならない状況
② 韓国業者と合営・合作に参入する北朝鮮の業者が、要求された作業を遂行するために他の北朝鮮の業者から物品及びサービスを供給される状況
③ 北朝鮮の業者が完成した製品を韓国業者に渡すために、指定された港湾や国境線の付近に運送しなければならない状況
 

   南北B2Bプラットフォーム会社は、北朝鮮内の関連インフラが完全に構築される前まで別途運送及び物流会社をつくるのではなく、北朝鮮各地に広がっているソビ車業者をつなげたり、連携することによって、運送及び物流の需要に応えることができる。この際、効率的な運送及び物流のために、①必要なビックデータを構築して、それを基盤に所要時間及び費用等を分析し、②南北経協に参加する北朝鮮の企業及び個人に最適のソビ車業者を配置し、③担当のソビ車業者にも関連サービスを最大限、そして迅速に提供することができなければならない。現在もトンジュらは時間と燃料を節約するために目的地までの最短時間経路を見つけ、携帯電話で運転手に関連情報を提供しているが、今後韓国の資本や技術が投入されて、ビックデータを蓄積・活用すれば、時間と燃料を画期的に節減することができる。

 

(3)決済:安全な決済と品質管理の結合

   B2Bプラットフォームを媒介とする南北経協に参加する韓国と北朝鮮の企業間の決済システムをつくる時、まず基本的に他の決済システムと同じく安定性が重要である。南北B2Bプラットフォーム会社が安定性のある決済システムを自ら構築しがたい場合、優秀な技術を保有した国内決済業者と協力することができる。

   安定性とともに、もう一つ留意するべきことは、それを詐欺防止及び品質管理と有機的に結合することである。そのために一般的にB2C(Business-to-Consumer)やC2C(Consumer-to-Consumer)に活用されるエスクロー(escrow)方式を適用してみることができる。例えば、韓国の購買者が事前に代金を決済すると、南北B2Bプラットフォーム会社または指定された第三者が一定期間それを保管しておき、北朝鮮の製造業者が送った製品を韓国の購買者が受け取って異常なしを確認し、品質に満足したら、北朝鮮の製造業者の口座に決済代金が初めて入金される方式である。ただし、少なくとも初期には、韓国の購買者が製品の品質に満足しない場合、一方的な返金を許容するのではなく、南北B2Bプラットフォーム会社または指定された第三者が製品の状態を確認した後、それが認められた場合にのみ返金する方式が望ましい。指定された第三者として南北同数で構成された委員会を想定してみることができ、ここには北朝鮮の党及び内閣から派遣された専門人材が含まれ得る。

   アリババが蓄積されるデータを基盤にして信用度の高い業者に様々なメリットを与えているように、南北経協のためのB2Bプラットフォームにも南北企業に対する評価指数がビックデータとして蓄積されるようにすることができる。今後、例えば、品質管理がしっかりと行われ、取引した韓国企業から良い評価を受けた北朝鮮企業には加算点を与えながら、それを当該企業のインターネットやイントラネット・ページに広報することができるようにして、南北経協への参加機会を拡大してあげなければならない。一方、品質管理水準が低かったり、何らかの形で問題を起こした履歴があって韓国企業から低い評価を受けた北朝鮮企業には減点を与え、減点が規定の限度を超過した時には、南北経協から退出させなければならない。同じく北朝鮮企業から良い評価を受けた韓国企業にも加算点を与えながら、それを当該企業が広報するようにすることができる。このような方式を通じて詐欺防止及び品質管理問題をある程度解決しながら、優秀企業にメリットを与えることができる。

 

(4)通信ネットワーク:北朝鮮のイントラネット及びインターネットの段階別活用

   現在国連の北朝鮮に対する厳しい経済制裁の下で北朝鮮の企業と外国企業の間にいかなる合営・合作も禁止されているものの、そのような状況においても南北B2Bプラットフォーム会社の設立、データ管理プラットフォームの構築等を含む予備段階の諸措置は実行されるべきである。また、今にも北朝鮮と当該内容を共有しながら、事業設計をより具体化することができ、北朝鮮の官吏及びエンジニアに関連教育等を前もって実施することができる[5.今の対北朝鮮経済制裁の下でもビジネス関連教育は許容されている。シンガポールの民間団体「朝鮮エクスチェンジ」は2010年から(COVID-19によって昨年は除く)毎年北朝鮮を訪問して創業教育を進めている。例えば、2019年11月には平城市「恩情特別経済区域」に所在している北朝鮮のスタートアップを対象に経営、金融、マーケティングなどのビジネス教育を実施したことがある。 Choson Exchange, Choson Exchange 2019 Annual Report, 2020, 7頁。]。

   今後対北朝鮮経済制裁がある程度解除されれば、B2Bプラットフォーム媒介の南北経協を本格的に推進することができるが、それを大きく2段階、つまり、二重のプラットフォーム段階と単一のプラットフォーム段階に分けることができる。

 
① 1段階:韓国はインターネット、北朝鮮はイントラネットでつながる二重のプラットフォーム段階
二重のプラットフォーム段階は、北朝鮮当局の検閲度が相当高い水準だと想定する。この場合、北朝鮮の企業は北朝鮮がインターネットの代わりに全国的な規模で使われているイントラネットに関連情報をアップし、韓国企業の関連情報は南北B2Bプラットフォーム会社が受け取り、それを北朝鮮のイントラネットに移す方式を考えることができる。北朝鮮の代表的なイントラネットとして朝鮮コンピュータセンターの「わが国情報センター」が運営中の「光明網」がある。新しいプロジェクトのためのイントラネットとして光明網を考えることができるが、より望ましい方法はB2Bを活用した南北経協のために、別途イントラネットをつくって北朝鮮の企業と事前に登録された韓国企業がそれを利用する方法である。北朝鮮当局が当該のイントラネットの設計及び管理に参加するようになれば、無理なく運用されるであろう。
 
② 2段階:韓国と北朝鮮両方ともインターネットでつながる単一のプラットフォーム段階
単一のプラットフォーム段階は、北朝鮮の企業が所定の様式に合わせてインターネット基盤のB2Bプラットフォームに関連情報をアップしたら、北朝鮮当局がそれを事後確認する方式で管理する段階である。B2Bプラットフォーム媒介の真の南北経協が本格化する段階といえるが、外部からの干渉もなく、何度かの検索だけで希望する情報を確認し、直ちに当該業者との交渉及び取引が行われ得るからである。 ところが、この段階においてもやはり北朝鮮当局と緊密に協力して関連情報を管理する必要がある。北朝鮮にとっては、事業が統制可能な範囲内で作動するようにすることがカギであるため、南北経協の順調な運用のためにプラットフォームの構築から取引の終了までの全領域において北朝鮮側と緊密に協力しなければならない。全過程が南北間の安定性及び信頼性を基に進められれば、両側ともウィンウィンする状況が可能になるからである。
 

 

4.B2Bプラットフォームを媒介とする南北経協の意義

 

   北朝鮮における市場経済の発展は、非核化を含む韓半島(朝鮮半島)の平和、さらに統一のための準備段階として非常に重要である。北朝鮮が市場経済の発展を通じて経済的に繁栄するようになれば、核兵器を保有し続けることの機会費用が大きくなりすぎるので、北朝鮮にとって核兵器は大きな負担となる。韓国が核兵器を持たない理由は、得るものより失うものがはるかに多いからでもあるが、高い水準の経済成長によって体制の対内・対外的安定性が担保されれば、北朝鮮も同じく核兵器に執着しなくなるであろう。統一準備の場合、とりわけドイツの統一以後、韓国国民が統一に対して最も憂慮することは、高い統一費用及び南北間の経済力格差による社会混乱といえる。統一段階で北朝鮮の経済発展水準が、例えば、すでに中進産業国程度になれば、統一以後北朝鮮に韓国国民の税金を投入する必要がない。また、北朝鮮の産業力量が発達した状況で統一すれば、仕事を求めて韓国に入ってくる北朝鮮の住民数が限られるので、そうなれば、現在懸念されている統一以後の社会混乱も相当解消され得る。

   現時点で北朝鮮の市場経済がより高いレベルに発展するためには、何より産業資本家の育成が必要である。以前開城公団事業のように、北朝鮮に金(賃金)を直接与える方式ではなく、お金を稼げる能力を持つ人材を育成する方式へと南北経協が変わっていかなければならない。B2Bプラットフォームを媒介とする南北経協は、北朝鮮内の当該事業に関与するトンジュらを産業資本家として成長させることによって、北朝鮮の市場経済がいっそう高い段階に発展するのに大きく貢献することができる。

   南北間の経済協力は北朝鮮の経済だけではなく、韓国の経済にも有意味な寄与をしなければならず、そのためには何より新しい南北経協事業が今の韓国の低成長基調を変えることができるように、既存の経済成長方式の転換を駆り立てる、または助力する方法でなければならない。現在韓国を含む資本主義国家が志向すべき経済成長方式の一つは、例えば、創業国家(start-up nation) のイスラエルのように、「創業が日常化される」革新基盤の経済成長として、ここでは企業規模が成功可否に大きく影響を及ぼさない[6.ダン・セノール、シャウル・シンゲル著『創業国家(START-UP NATION)』ユン・ゾンロク訳、タハルメディア、2010参照。]。ICTの発達によって、大企業でなくても、中小企業または個人が販路を国内外から簡単に確保することができるからである。本稿で提示するB2Bプラットフォームを通じた南北経協は、(大企業だけでなく)中小企業や個人が北朝鮮側のパートナーと一緒に自分たちの事業アイデアを簡単に現実化できるメカニズムを具体化したものである。韓国の経済構造を変える過程が至難であり、相当の時間が要される状況において、このような方式の南北経協を媒介または促進剤とすれば、その過程を加速化することができる。

   また、韓国政府は過去数年間経済発展とともに就業率の増加を目的に新再生エネルギー、炭素低減エネルギー、先端グリーン都市、先端融合産業、新素材―ナノ融合等の新成長分野の育成のために莫大な費用を投資した。しかし、政府が多様な政策手段を通じてこれらの分野を支援するとしても、雇用数の増加には限りがある。雇用創出により貢献するのは、既存の商品及びサービスを少しでも改善するアイデアを持つ人々が、どれくらい容易に創業または事業の拡張ができるかであり、それは何よりB2B生態系がどれくらい活性化されたのかがカギである。B2Bプラットフォームを活用した南北経協は、経協と関連した創業及び事業の拡張ブームを導き出せるので、経済成長と結合した就業率の向上にも大きく役立つことができる。

 

5.おわりに

 

   B2Bプラットフォームを通じた南北経協を活用して、私たちは南北間の産業構造及び経済発展段階の違いを、南北の経済協力を促進する手段として変えることができる。数十年間北朝鮮は韓国の安保を脅かす行動で「コリアディスカウント」を引き起こす、韓国経済に大きな負担を与える存在だった。ICTを基盤とするB2Bプラットフォームを南北経協に効果的に活用すれば、韓国経済は如何なる国家も持たない北朝鮮という存在を通じて、経済成長の跳躍を現実化することができる。

   現在は北朝鮮に対する経済制裁によって南北経協をいますぐ進めることはできないが、とはいえ、南北経協に関する研究を中断してはならず、むしろこの時だからこそ今後再開される経協をより体系的に準備する機会にしなければならない。本稿で提示した方式は、既存とは非常に異なる南北経協であるので、様々な限界があるのも明らかである。何より実際具現できるのかに対する疑問が提起される可能性もあり、その核心はB2Bプラットフォームが媒介する南北経協事業を北朝鮮当局が受け入れるのかである。筆者の考えでは、この問題を打開するカギは、関連分野の研究者たちがどれくらい論理的で説得力をもって事業計画を北朝鮮当局に説明できるのかである。完璧につくられた事業の青写真及び計画書等は、北朝鮮当局にB2Bプラットフォームを通じた南北経協の成功に対する信頼を与えることができる。なお、それは当該事業の実現可能性を高めることができるだけではなく、北朝鮮が改革開放そのものに対して確信を持ち、それをいっそう積極的に推進するようにする触媒になれる。そして北朝鮮の改革開放に対する真の熱意は、北朝鮮の核問題の解決及び経済制裁の解除のための主な条件の一つなのである。

 

訳:李正連(イ・ジョンヨン)

 

 

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