창작과 비평

[特集インタビュー] プラットフォーム労働と新しい連帯 / パク・ジョンフン·金素摞

 

創作と批評 200号(2023年 夏)目次

 

特集インタビュー

 

プラットフォーム労働と新しい連帯

 

 

金素摞

ジェンダー研究者、済州大学社会学科講師

共著書『皆のための性平等の学び』

 

 

110年ぶりの記録的な暑さが訪れた2018年夏、マクドナルド配達ライダーだった彼は、マクドナルドのソウル市庁駅店の前で猛暑手当て100ウォン(約11円)を要求する1人デモを始めた。猛暑、豪雨、豪雪のような悪天候にもバイクに乗らなければならない配達労働者の現実が注目され始め、せっかく高まった関心を放っておくのはもったいないと思い、労働組合を組織した。こうして2019年5月1日、配達労働者の労働組合「ライダーユニオン」が発足した。街頭活動、コラムへの寄稿、図書出版など慌しく活動し、今は組合員1,100人余りと共に活動しているライダーユニオンのパク・ジョンフン組織局長の話である。日差しがよかった4月7日、創批の西橋ビルで彼に会った。

私たちはオンラインで配達労働者、家事労働者、代行ドライバーを呼び出し、ホームページ製作、ウェブデザイン、ウェブトゥーン作業、翻訳、録音、校正・校閲、運動指導など多様な仕事を代行するサービス(人)を利用する。その中心には、顧客が発注した仕事とその仕事を引き受けようとする労働者とをつなげるプラットフォームがある。プラットフォーム労働が多様な職種や形態に拡大し、雇用構造、そして労働者の地位及び労働環境が急速に変化している。プラットフォーム企業は、「共有」と「革新」という名のもとで利益とデータを独占する中、自分たちが作り出す問題に対する社会的責任は免除されている面がある。プラットフォーム労働が労働の現在だけでなく、未来、さらには今後の韓国社会を捉えることができる重要な地点になる理由なのである。しかし、多様に媒介されるプラットフォーム労働の全般を把握したり、バラバラになって一人で働くプラットフォーム労働者が集まって声を出すことは容易ではない。パク・ジョンフン組織局長にまずライダーユニオンの組織過程について尋ねた。

 

私も最初は配達労働者を組織することは容易ではないと思いました。企業別に労組を設けることはできず、労報(労働組合新聞)を配布するところもなく、一緒に出勤してご飯を食べるところもないため、「社会運動労組」という名前を付けキャンペーンを通じて組織化を始めました。ところが、実際に始めてみたら、配達労働には「空間性」があり、地域を基盤とする組織が可能ではないかと思いました。例えば、麻浦地域の配達労働者たちはそこが住居地だったり、主にそこで働いているので地域の地理をよく知っています。プラットフォーム企業は、労働者が熟練することを望んでいませんが、配達プラットフォームがAIアルゴリズム配車で単件配送を始める前までは地域をよく知っている熟練度が特に重要でした。そして、一緒に話し合い、吐露する空間に対する需要や欲求もありました。配達労働者たちは一日中一人で仕事をしながら一言も話さない日もありますが、だからといって、自分の仕事に反対するかもしれない家族に対して死にかけていたことや不当な待遇を打ち明けることもできないからです。このように地域を中心とした空間性、集いに対する欲求を基盤に配達労働者を組織することができました。

 

プラットフォーム労働は、労働者が単発に、また超短時間で雇用されるという点でしばしば「ギグ・エコノミー」(gig economy)や「ギグ・ワーカー」(gig worker)と呼ばれる。特殊雇用労働者(特殊形態の勤労従事者)、フリーランサーなどの用語と混用されることもある。一方、プラットフォームはアルゴリズム・ビッグデータ技術と共に革新を成し遂げた新成長産業に分類され、プラットフォーム労働は希望する時間に自由に働ける労働だとか、高い収益の一時的なアルバイト及び副業ととらえられている。プラットフォーム労働の特性とは何かと尋ねると、パク・ジョンフン組織局長は「プラットフォーム労働の様々な特性にもかかわらず、そこに隠れているものは新しくて見慣れないものではなく、見慣れているものだ」と指摘した。過去の労働問題がプラットフォーム労働において新しい形として繰り返され、持続されているということである。

 

誰かにしばらく仕事をさせて帰らせるプラットフォーム労働の歴史は、産業化以前にまで遡ることができます。もう少し最近の例としては、夜明けの寄せ場がオフライン型プラットフォームだと言えます。夜明けの寄せ場事務所は人々が集まって待機し、誰かはワゴン車に乗って仕事に出て、誰かは仕事がなくて家に帰らなければならない停留所です。そのような人材仲介市場をデジタル化したのが「アルバモン」と「アルバ天国」です。さらに、最近では特殊形態勤労従事者(以下、「特雇」という)が現れました。勤労基準法上、使用者の責任とそれによって発生する費用を回避したがる資本が作り出した雇用形態が特雇であり、これは下請け業者を通じて特定業務を外注化することを越え、個別労働者まで外注化する労働力外注化の一環です。個人事業者と労働者の性格を同時に持ち、労働市場で権力の強くない貨物車運転手、クイックサービス運転手、代行ドライバー、学習紙の教師、保険設計士などがここに該当します。

1件ずつ委託契約を結び、労働過程と結果に対する指示・監督を受けるという点で特雇労働者やフリーランサーはプラットフォーム労働者と類似していますが、プラットフォーム労働はオンラインで仲介され時空間の限界を無くすという点で多少異なります。プラットフォームは無限の労働者をオンライン空間に常時待機させ、いつでも、どこでも超短期で労働者を雇用できるようにします。デジタル世界は24時間回るので、このようなことが休むことなく続きます。そして極端に、プラットフォーム労働市場では世界中の労働者が競争状態にあります。以前、資本は60億人の人口を雇用することは想像できませんでした。彼らに工場やオフィス、コンピューターや机、社会保険を提供することはできませんから。だが、今やオンラインに待機する労働者を収容するサーバーさえあれば、彼らすべてを労働力として使うことができます。ところが、今のようなプラットフォーム労働が持続するためには、勤労者を採用したり解雇する時、勤労基準法上の複雑な過程を経てはならず、契約が簡単に行われなければなりません。画面をタッチするだけで早く労働者を雇用することができなければならず、勤労基準法上、勤労者に対する責任のように、解約のために30日前に解雇を予告しなければならないこともあってはなりません。

 

労働者に対する使用者責任から解放されたいという資本の長年の欲望が続くこのような状況が、「革新」という名前の下でバラ色の未来のように描かれる理由は何だろうか。彼は収集されたデータを通じて消費者の需要を予測し、プラットフォームを通じて労働力を蓄積して管理し、アルゴリズムとAIの後ろに使用者の顔を隠して責任を問いにくくさせる変化が企業にとっては「革新」であるためだと指摘した。

 

タクシー配車アプリ「タダ(TADA)」が出された時、車が路地まで来てくれて良いとか、運転手たちが親切だと評価されたが、それは運転手が時給1万ウォンという固定給を受け取ったためです。しかし、「タダ」サービスを開発した「ソカー(SOCAR)」は、固定給を与えながらも運転手たちを勤労基準法上の勤労者として雇用しませんでした。技術とアプリで革新を成し遂げたのではなく、労働法違反を通じて革新を成し遂げたのです。さらに、このプラットフォーム労働を持続させる力は金融資本主義です。プラットフォーム企業は良い投資先です。企業と投資家はデータの蓄積と活用を通じてより多くの投資を誘致することを目標にしながら、各種の規制撤廃を要求し、企業公開や売却によって金融的利益を実現しようとしています。

 

昨年7月、タダの運転手をソカ所属労働者と認定した中央労働委員会の決定を取り消せという裁判所の判決が出された。プラットフォーム労働者が労働者性を認められ企業に使用者責任を付与しようとする闘争を継続している中で、プラットフォーム企業は、自分たちは労働者を指示・監督せず、アルゴリズムがこれに代わると主張し使用者性を否定している。このような対立は、労働と資本との長い闘争が今も続いていることを考えさせる。

 

働く人をどのように保護するのかに関して、300年余りの間に世界で起きた議論の結果が、今の労働関係の法令です。ところが、プラットフォーム労働者は現在勤労基準法上の勤労者ではありません。今は何よりもプラットフォームを媒介に働く人々を労働者として認める必要があります。韓国の平均勤続年数が5-6年で長くなく、多くの人が兼業や副業をする現実を考慮すれば、定年退職まで働く専業労働者が一般的だというのはもはや難しくなりました。プラットフォームに労働者が多いことも正規職の働き口を持てなかった人々がそれだけ多いという意味なのです。新型コロナウイルス感染症のパンデミック時期に失業問題が生まれなかったのも、プラットフォームが彼らを吸収したためです。米国カリフォルニア州のAB5法案(独立契約者条件強化法案)は、プラットフォーム労働者が独自に営業できずサービスの価格を決めることができなければ、自営業者ではなく労働者としてとらえるようにしました。私たちもこのように労働者概念を変えなければなりません。出退勤の有無や勤続年数、労働時間ではなく、労働する間に使用者の管理・監督の下でどれくらい従属的に働くのかを基準にして、労働者性を判断すればよいと思います。

 

「就職準備−中断のない雇用−最終的引退」という現実とは乖離した図式を標準の労働生涯に固執しては、金融資本主義が作り出す雇用構造の変化や各種の違反行為に対応しにくいと思われる。しかし、欧州議会や米国の各州でプラットフォーム労働者の労働者性を認める宣言が増え、プラットフォーム労働者を保護する方案に関する議論が多くなったにもかかわらず、後続措置がそれほど活発に伴わないようである。プラットフォーム労働の現実を変化させるためにどのような戦略が必要だろうか。パク・ジョンフン組織局長は「労働組合組織」を出発点にしようと提案した。

 

ライダーユニオンが行ってきたことも、一次的には私たちにとって認めてもらえない労働者の権利とは何かを確認し、勝ち取ることでした。一度にすべての権利を勝ち取ればいいのですが、部分的にでもよいと思いました。特に配達労働者に対する労災保険補償を全面保障するようにすることが最も重要でした。配達労働者に対する労災補償は2017年3月に導入されましたが、専属性の要件と労災適用除外申請制度により限界が如実に見られました。配達労働者は一つの事業場で一ヶ月の所得115万ウォン、労働時間93時間を越えなければ専属性が認めてもらえず、労災補償も受けることができませんでした。複数のところで仕事をする場合、こうした要件に符合せず労災保険に加入しても補償を受けられない場合が多かったのです。闘争の末に労災保険の専属性要件を廃止する内容の産業災害(労災)補償保険法改正案が昨年5月、国会本会議を通過し今年7月1日から適用されます。これがライダーユニオン活動をしながら一番よくやったことだと思います。文在寅政権の時に雇用保険が導入されており、健康保険と国民年金の段階的適用も悩んでいます。社会保険を通じて所得を保障し、社会的セーフティネットに対する信頼を回復することが重要です。

次に重要な議題が最低所得の保障です。貨物車の安全運賃制がそのような試みの一つでしたが、失敗しました。最低賃金法第5条3項に「請負賃金制」に関する規定がありますが、時給・日給・週給・月給を受け取らない労働者に対して仕事の結果によって最低賃金額を別途定めることができると規定しています。他人の仕事を代わりに遂行した代価としてお金を受け取る配達労働者にこの請負最低賃金額を定めろと主張し、空文化した法の意味を蘇らせたいと思っています。そして、配達労働者の最低賃金をどのように算定するのかも想像してみたいと思います。米国ニューヨーク州では最低賃金にガソリン代と車両保険料などの所要経費、有給休暇費などを加えてドライバーの最低所得を算定し、保障しています。配達労働者に対してもこのような方案を想像することができるでしょう。

ユーザー責任という問題においては、「共同ユーザー責任」という概念を導入する必要があります。すでに労働市場では複数の使用者が介入している場合が多く、建設分野では共同使用者の概念がある程度確立されていますが、これをより普遍的に拡張しなければなりません。例えば、下請け企業が賃金を未払いすれば元請けがひとまず責任を負って後で求償権を行使したり、あるいは配達労働の場合、大型配達プラットフォームの使用者性から町内配達代行会社の小さな使用者性まで一緒に認めて労働者と交渉するようにしなければなりません。これが実質的な力を発揮するためには、何よりも労働組合が組織化され、労働者の争議権が保障されなければなりません。

 

ライダーユニオンは、プラットフォーム労働者の安全に対する問題提起から出発し、労災補償という成果を獲得し、最近は最低所得の保障にまで想像力を広げていた。低い賃金と配達件数による報酬策定が、配達労働者を高強度・長時間労働に追い込み、産業災害と疾病危険を増大させるという点を考えれば、最低賃金と労災は互いに分離した問題とはみられない。さらにパク・ジョンフン組織局長は、労働組合という組織を消費者アイデンティティから脱した市民的アイデンティティを形成し、民主的政治を作る空間としてみていた。今後プラットフォーム労働内の異質性が増大し続けるとみられる状況で、より強固な連帯を構築する問題もこの「市民的アイデンティティ」と無関係ではない。それは、まさに私たちが望むより良い未来とも関連があるだろう。

 

プラットフォーム労働は、労働組合が交渉力を持つことも、本社占拠やアプリ無力化のような争議活動をすることも難しくてストライキが容易ではありません。プラットフォーム労働者のストライキが果たして社会的支持を得られるのかも、考えてみるべき問題です。これは、プラットフォーム企業が需要の予測と労働力の管理を通じて取引費用を縮小することによって、消費者にはより安い価格でサービスを提供できるからです。また、特定企業の独占が消費者には便益として感じられることもあります。例えば、皆が「カカオT」アプリでタクシーを呼び、このアプリが市場を独占するのが、企業だけでなく消費者にも効率的です。そのため、消費者もプラットフォームを、ひいてはプラットフォーム企業の独占までも支持するようになります。それだけでなく、プラットフォーム市場で消費者は星評価やクチコミを通じて労働者を統制する中間管理者の役割もするじゃないですか。これは、権利をお金を払って「購入」するものとみなされます。市民だから主権を与えられるのではなく、消費者資格を購入することで権利を与えられると考えるようになるのです。

このような消費者アイデンティティは社会運動でも問題になりますが、その一つはインフルエンサー活動家を作り出すということです。私も関連がありますが、ある活動家が一度注目されると、その人の意思に関係なく、その運動を象徴する人になってしまいます。大衆にとってその人が最も良い「商品」になるのです。大衆は本やグッズを買って「いいね」ボタンを押す自由主義的消費を通じて運動に参加したと思います。そうするうちに何か不足を感じると、その人は簡単に捨てられ、インフルエンサーの影響力は組織に収斂されません。それゆえ、消費者ではなく、労働者であり市民というアイデンティティを持って他の人に会い、彼らと共に社会変動の方向を眺望する機会と空間が必要なのです。弁護士や教育労働者など専門職にまでプラットフォーム労働が拡大する現実を考える時も連帯の構築が重要です。

しかし、オンライン空間はその役割を果たすのが難しそうです。同じ文章に「いいね」を押す人が集まる空間ではなく、それぞれ異なる考えを持つ人たちが不便を甘受しながら市民という顔で共にいられる空間、手に取る関係から始め、市民的力量を育てることができる空間が必要です。より良い世の中を作ろうとする関心や活動に対して、何か一つでも期待に及ばなければ、表と裏が違うとか偽善的だというのではなく、少なくとも偽善が偽悪より良いのではないかと問うことができなければならず、そのような共感を土台にして市民というアイデンティティを形成する仕事を始めなければならないと思います。人間と共同体に疲れ、希望を捨てた「冷笑」でもなく、相手や事件に無理に介入する「無礼さ」でもなく、その中間が必要なのです。私はその中間を上手く見つけるのが市民的生活だと思います。それぞれ異なる人生の経験と政治志向を持った人々が集まった労働組合は、それを試みることができる重要な組織です。もちろん労組がしっかりしなければなりませんが。

 

プラットフォーム企業がアルゴリズムと利益を独占できないようにし、これを公共の統制下に置く方案も悩んでみるべき問題である。私がデジタル性暴力を研究しながら悟った事実の一つは、「プラットフォームは何も生産しない」ということだった。プラットフォームは、データを蓄積し利益を得るために利用者を最大限多く集め、利用者が自分の情緒と考え、デジタル機器の中のイメージと映像を共有するよう参加を促す。この時、不法撮影物をはじめ性的イメージはより多くの利用者とより多くの収益を担保できる効率的な媒介体として活用される。そして、利用者が蓄積したデータを通じて生じた利益は、プラットフォームが独占する。多くの人がデータの生産と維持に参加するという点で、プラットフォームは「共有経済」だが、企業はその利益を「共有」しないのである。では、多数が一緒に蓄積したデータをどのように活用し、統制するのか。

 

プラットフォームに内的矛盾があるのです。プラットフォームは、データを他の企業と共有するほど成長可能性が高くなりますが、投資を受けるためにはデータを私的に所有しなければなりません。労働者を柔軟に雇用しますが、サービス品質を維持するためには使用者の指揮と統制が必要です。配達代行サービスの場合、企業が成長するためにクーポン提供などの方法で利用者を増やさなければなりませんが、市場を独占し純利益を発生させるまでどう持ちこたえるのかという問題もあります。

この時、市民が最も強く要求できる部分は「データの公共的所有と利用」だと思います。いまや民間が政府よりも多くの情報を持ち始めていますが、これを保険や交通などの公的サービスに活用できればいいでしょう。データを市民的に統制し、社会的に使用するため、関連企業に情報を出してもらうようにすることです。例えば、保険会社は私たちが一日に何歩を歩いたのかをもとに保険加入を断ることができますが、そのデータを見て少なく歩く人々を訪問して支援する社会的活用方法を想像することができるのです。あるいは企業は公共交通機関が劣悪な地域に対する情報を商業施設の敷地選定に活用すると思いますが、政府はこれを交通インフラ拡充という公共の利益のために使うことができます。データから生じる利益は測定が難しい上、データ一つひとつが個別的価値を持つわけではないので、データの公共的利用という次元で接近することが効果的で重要だと思われます。

同じ文脈で、個人情報保護よりも特定のプラットフォームの独占を制限する産業規制がもっと必要だと思います。もちろんプラットフォームの独占が消費者の利益や便益により符合するため、社会的合意を導くことは容易ではありません。そのため、アルゴリズムについて私たちは知る権利、説明を聞く権利を求めなければなりません。実際、既存の法律に基づいてもプラットフォーム企業はアルゴリズム情報を提供しなければならないんですよ。例えば、プラットフォーム労働者にとってアルゴリズムは就業規則と同じで、労働者がいつでも閲覧できるよう公開しなければなりません。しかし、配達労働者は配車や配達料を決めるアルゴリズム基準が分かりにくいのが現実です。アルゴリズムというと特別なものに見えますが、消費者約款や就業規則などに解釈すれば、既存の法律でいくらでも公開させることができます。むしろこれを新しい現象と規定し、新しい法を制定しなければ何もできないかのように言うともう遅いです。

 

最近労働組合の違法行為に対して企業による損害賠償請求を制限する「労働組合および労働関係調整法」の改正案、別名「黄色い封筒法」を巡り、政党間及び企業と労働者間で異見が発生している。改正案は特殊雇用・プラットフォーム・フリーランサー労働者に対する企業の使用者性を認め、ストライキ認定範囲を広げ、ストライキした労働者に対する損害賠償・仮差押えを制限する内容を含んでいる。労働者の地位と権利、労働環境改善など労働問題と関連した社会全般の合意を引き出すことが、プラットフォーム労働の現実を変化させるために重要とみられる今日である。ライダーユニオンも労働組合法改正案のための活動に連帯している。パク・ジョンフン組織局長は、労働運動において富の再分配とこれを通じた共同体の復元という長期的な観点が必要だと強調した。

 

労働組合運動から始め、富の再分配まで議論できる労働運動に拡張していくことが必要です。個人的には現政権が発表した「週69時間勤務制」が現実的でなく、イデオロギー的攻勢に近いと考えますが、この制度が実現されるならば、大企業よりは、すでに労働時間をゴムひものように延ばしたり減らしたりとしながら労働者を搾取している周辺化した労働市場の状況がさらに悪化するでしょう。ところが、そのようなところには労働組合がほとんどないというのが問題です。政府の労働改革案に対する怒りは存在しますが、これを集めて団体行動として作り上げていく組織がないのです。労働組合の組織がどれほど難しいのかを私もよく知っていますが、必要かつ切実です。

「週69時間勤務制」という懸案について、まずは長時間の労働が果たして適切で必要なのか質問しなければなりません。さらに、増税による社会保障制度の構築という政治的議題を提起することで、より大きな連帯を築くことができると思います。技術が発展し続ける中で、私たちはなぜ長時間働かなければならないのか問いかけ、過剰生産を問題視しなければならないのです。プラットフォーム労働の現実を変化させるためにも、長期的には経済成長ではなく富の再分配という方向に向かわなければなりません。生計に必要な労働時間を劇的に短縮し、増税を通じた財源調達で社会保障を拡大し、技術の発展を公的に活用する大転換なしに今日の問題を解決する方法はありません。そのためには、金融所得と不動産地代収益により多くの税金を課し、プラットフォーム企業の利益を逆収奪するなどの方法を講じなければなりません。プラットフォーム産業が生み出す社会問題を考えるとなおさらです。一例として、プラットフォーム産業は電子機器充電のための原料であるリチウムとレアアース、都市のバイクや宅配車両と電動キックボードなどによる環境汚染はもちろんアフリカの児童労働、政治的・経済的紛争まで数多くの社会問題と絡み合っています。しかし、プラットフォームが仮想世界に存在すると考えられ、プラットフォームが生み出す様々な問題は簡単に隠されてしまいます。良い投資先を探して国境を越える国際金融資本を考える時、富の再分配に向けた大転換は国家単位を越え、国際的次元で議論される必要もあります。あまりにも大きな話のようですが、そして決して容易ではないと思いますが、労働者であり、かつ市民として顔を合わせて経験を分かち合い、連帯をつくりあげる労働組合などの小さな組織からこれを始めなければなりません。

 

長くない限られた時間に、パク・ジョンフン組織局長はプラットフォーム労働者の労働者性の認定、社会保険の適用、プラットフォーム企業に対する使用者責任の付与、データの公的活用や市民的アイデンティティに基づいた社会運動にまで多様な議論を提起した。また、労働組合組織とこれに基づいた連帯の拡張、富の再分配に向けた労働運動と政治的努力は容易ではないが、必ず必要だとその重要性を何度も強調した。彼の話を聞きながら、プラットフォーム労働が社会の多様な層位とかみ合った複合的な問題であることを、しかし、他の未来を描くための出発点は依然として人、そして人との関係でなければならないことを改めて実感した。そして、そのための活動や努力を聞くことができて楽しかった。

2019年発足したライダーユニオンは、プラットフォーム労働者連帯である「プラットフォーム労働希望探し」活動に共に参加し、連帯の幅を拡張している。また、3月にあったライダーユニオン組合員の総投票で民主労総公共運輸労組への加入が決定されたりもした。労働が人なしでは成し遂げられないという点を受け入れ、共同体と連帯の復元という広い視野でプラットフォーム労働に近付かなければならないという提案、そしてこれに向けたこれまでの実践は、200号を迎え、私たちの社会が今後進むべき方向について悩んでいる『創作と批評』にとって大切な呼び水になるであろう。

 

訳:李正連