창작과 비평

[特集] 「キャンドル革命」、キャンドル連合、そして民主党 / 李南周

 

創作と批評 197号(2022年 秋)目次

 

特輯/大統領選挙以後の「キャンドル革命」が進むべき道

 

「キャンドル革命」、キャンドル連合、そして民主党

 

 

李南周

聖公会大学中国学科・教授

 

 

1. 政権交代と「キャンドル革命

今年3月の大統領選挙を通じて5年ぶりに「保守」政府が再び登場した。6月に行われた地方選挙でも新政府を支援しようとする政治的流れに加え、「共に民主党」(以下、民主党)の公薦(公認)戦略の失敗が重なり、「国民の力」が大勝を収めた。特に政治的ターニングポイントだった大統領選はわずか0.7%の差で勝敗が分かれたとしても、キャンドル革命の大きな挫折であることには間違いない。キャンドル大抗争が一回性の事件にとどまることなく、社会や国を大きく変えるキャンドル革命という新たな局面を切り拓いてから[1]、ここ5年間行われたキャンドル革命の進展のため努力と、それを阻止するための試みとの熾烈な戦いで後者が一応勝利したことになる。しかし、この挫折がどの程度の挫折であり、どのような要因がこの挫折をつくりだしたのかをしっかり検討しなければならない。後述するが、キャンドル革命は今回の選挙で終焉を告げたわけではなく、依然として進行中の事態だからである。したがって、もっと重要なのはキャンドル革命の現在の状況を分別し、その状況を打開することができる対応の方向を定めることである。

政権交代が行われた一次的原因は、キャンドル連合の亀裂である。キャンドル連合はキャンドル大抗争によって政治的転換を実現させ、文在寅政府の出帆以後も韓国社会の変化に主要な動力として作用した、無形の、しかし強力な政治的流れであった。ただ、無形であるゆえにその範囲を確定するのは簡単ではない。朴槿恵前大統領の弾劾を支持した80%の勢力を最大範囲とみる論者もいるが、弾劾支持が必ずしもキャンドル大抗争・キャンドル革命に対する支持を意味することではなかった。保守層内ではキャンドル大抗争に対する支持ではなく、他の道を探すために「ソンジョル(손절)」(関係を断ち切ること―訳者)することもあったからである。キャンドル連合の範囲を類推するのには2017年5月に行われた大統領選挙の得票率がより有用な基準を提供する。当時の得票率は文在寅41.08%、洪準杓24.03%、安哲秀21.41%、劉承旼6.76%、沈相奵6.17%であり、そのうち文在寅と沈相奵に投票した47.25%がキャンドル大抗争の大義を積極的に支持したケースといえよう。劉承旼と安哲秀が得票した28.17%にはキャンドル大抗争に対する支持と政治的ソンジョルで弾劾を選択した流れが混ざっている。当時安哲秀候補が概ねキャンドル大抗争を支持するスタンスを取り、湖南地域(全羅南道・全羅北道―訳者)で比較的高い支持を受けたことを考慮すれば、その28%程度の3分の1あるいは半分程度をキャンドル大抗争の支持勢力として見做すことができよう。これをまとめてみると、当時有権者の57∼61%程度がキャンドル連合を形成していたことになる。

政治的エネルギーが高揚されていた時期を経て、キャンドル連合が漸次緩くなっても55%に近い支持を維持することができていたら、政局主導力を維持し、選挙で勝利することに問題なかっただろう。今回の大統領選挙でキャンドル革命の正反対に立っていた政党の候補が当選されたのは、キャンドル連合に亀裂と離脱が発生したととらえなければならず、これはもちろん過小評価することではない。しかし、2回の選挙結果を根拠にキャンドル革命のエネルギーが消尽され、キャンドル連合が解体されたと断言できる状況ではない。何より今回の大統領選において李在明候補と沈相奵候補の得票率の合計は50.2%に達した。最悪の言論環境とキャンドル革命に対する否定的あるいは懐疑的視点の蔓延にもかかわらず、今回の大統領選の土壇場に有権者たちは自発的に結集しながら、キャンドル革命のエネルギーが生きていることを見せてくれた[2]。大統領選挙の前に尹錫悦候補の圧倒的勝利を予想した大半の世論調査とも大きく違う結果だった。しかし、なぜこうした大きな違いが生じたのか、キャンドル革命がこれにどのような影響を及ぼしたのかなどに対する慎重な分析はほとんど行われなかった。大統領選の結果をキャンドル革命に対する否定として解釈すると、何よりキャンドル連合の初心があまり守られなかったところからもたらされた可能性を排除するようになる。この場合、例えば、「中道」票を得ることができなかったという、変革的観点を失った現象的処方に引っ張られていく可能性が高い。キャンドル連合の亀裂という客観的現実をきちんと認識するとともに、キャンドル革命の時代精神を具現することのできる方向へキャンドル連合を再構築することが緊要である[3]

 

2.キャンドル連合の亀裂の原因>

 

キャンドル連合の亀裂を見せる最も明らかな変化の一つは、2021年に入ってから政権交代を希望する世論が大きく増えたことである。韓国ギャラップの調査によると、2021年に政権交代論が政権維持論よりずっと6∼24%優位にあった[4]。当時与党は大統領の国政遂行支持度が40%程度で過去の政権より高いということに自己満足しながら、このような世論の流れを低評価した。もちろん文在寅大統領の支持率がそれ以前の政権より異例に高かったのは事実だが、それが単純多数制(得票数が1票でも多ければ当選される投票制度)のもとで両者対決構図で行われる選挙では必ずしも肯定的なシグナルではない。現在アメリカのバイデン大統領も40%程度の支持率を見せているが、これはバイデン大統領が所属している民主党が中間選挙で敗北する可能性が高まるシグナルとして見做されている。もちろんこのような不利さを克服することも大統領選候補の役割であり、歴史的先例を考慮すれば、実際克服する可能性もあった。しかし、キャンドル革命の現在を評価するためには、なぜ政権交代論が上昇し、キャンドル連合の亀裂がなぜ発生したのかに対する答えを探すことがより重要なのである[5]

キャンドル連合の亀裂の原因として曹国前法務部長官問題がいつも欠かさず取り上げられる。大統領選以後も依然として「曹国の川」を渡ることを民主党の最も重要な課題のように主張することがある。曹国前法務部長官問題がキャンドル連合の亀裂の一要因である点は間違いないが、最も重要な原因ではない。曹国前長官は自身の不適切な行為に対してお詫びしており、いわゆる「曹国事態」が頂点に達してから行われた初めての選挙である2020年4月の総選挙で民主党は勝利した。問題になり得るのは、曹国事態の発生から2020年下半期まで続いた政府と検察首脳部との葛藤であろう。ところが、これは曹国前長官と直接的な関係があるというより、検察改革と関連する問題である。改革目標が正当だからといって改革方案まですべてが正当なわけではなく、当時の改革にむけてのアプローチ方法には問題があった[6]。アプローチ方法の違いに対する議論は必要だが、これは検察の既得権を擁護することとは全く異なる問題であり、結局検察改革という大きな方向で解決されなければならない。この点は尹錫悦政府の出帆以後一層明らかに確認されている。今も「曹国の川」渡りを民主党の核心問題のように語るのは、守旧勢力のフレームに翻弄されることであり、実際民主党が解決しなければならない課題に対する討論も難しくさせる。

より重要に検討しなければならない問題は、キャンドル革命を継承するといった政府がキャンドル革命の要求にどれくらい充実に対応したのかである。政府と与党がキャンドル連合の亀裂の一次的原因を提供したことが事実であれば、彼らがキャンドル革命の要求に応えた点と応えられなかった点が何なのかを明確に識別し、解決方法を模索しなければならない。まずキャンドル革命という新しい局面で起こった肯定的変化を見てみると、次の通りである。

第一に、成長と分配領域における成果である。経済成長率は2017年以降OECDの平均成長率より高い数値を記録し続けた[7]。朴槿恵政府の時からそうだったという点で文在寅政府だけの成果として掲げることではないが、少なくとも文在寅政府が経済成長に無能だったり、成長率が韓国経済の主な問題だと主張する保守の批判が妥当ではないという根拠にはなる。所得不平等を示す最も代表的な指標であるジニ係数は、2010年代に入ってから少しずつ低下し、2015年に再び高まったが、2017年以後再度下がった[8]。不平等は依然として深刻な問題だが、これを緩和させようとする政府の介入が一定の成果を上げたのである。

第二に、コロナ・パンデミックに対する対応である。未曽有の状況で諸副作用があったものの、韓国は「ソーシャルディスタンス」と「移動性の確保」とのバランスを維持するのに成功した代表的事例である。ブルームバーグ(Bloomberg)がパンデミック以後社会的活動、患者数、ワクチン接種率などを基準に毎月53か国の復元力(resilience)を評価し、その順位を発表してきたが、韓国はパンデミック発生初期、そして2020年5月以降最上位を占めた。一時20位以下になった期間もあったが、速いスピードで再び最上位に入り、2022年6月の最後の調査では1位を記録した。これは、政府の責務性と市民の参加とが結合した結果である[9]

第三に、韓半島平和プロセスは具体的成果を上げることができなかったとしても、2017年下半期一触即発の危機を管理し、対話を通じて問題を解決することができる機会を提供した。ただし、2019年2月のハノイ米朝首脳会談が「ノーディル」に終わってから南北関係が進展できないまま軍事的対決が再び強まり、最近はウクライナ戦争、米中戦略競争等の要因が重なることによって、韓半島の非核化がいっそう難しくなっている。この過程は、「先進国」になったという韓国が韓半島問題解決の主体になれない現実と、この問題を解決することがキャンドル革命の進展において重要なカギであるという点を改めて確認させてくれた。

政策的失敗と大転換の要求に応えられなかった過誤に対する批判と省察は必要である。しかし、すべての問題を政府の責任にしたり、さらにはここ5年間を完全に否定する評価は客観的ではなく、キャンドル連合の亀裂と既得権連合の強化に一助するだけである。キャンドル革命の特別な意味は、市民的・国家的力量の増加に基づいて社会大転換の実現という目標を可視化したというところにある。このような認識が共有される時、各自がキャンドル革命時代に自身の役割をしっかり見つけ、社会大転換のための共同の努力をすることができるという点を、これまで『創作と批評』の誌面を通じて強調し続けてきた[10]。社会大転換という志向が、キャンドル大抗争時期はもちろんのこと、文在寅政府の出帆以後も多少抽象的であり、分散的な方式で表出されたため、それを具体化し、各議題の優先順位や結合方式に対して社会的合意をつくっていくことが重要であった。キャンドル革命の継承を主張した政府与党は、実際そのために中心的役割を遂行しなければならなかったが、キャンドル革命の意味とそれに符合する役割に対する真摯な探求はなかった。その代わりに自らの政治的勝利をキャンドル革命の進展を評価する基準にしたが、それはキャンドル革命の要求には程遠いものであった。

この問題は、2020年の総選挙において最も明確に表れた。当時政府与党は、キャンドル連合を拡大し、強化できる改正選挙法の意味を事実上無力化する選択をした。「共に民主党」と「共に市民党」は180議席、つまり総議席数の60%を確保する圧倒的勝利を収めたが、少しだけ詳しく検討すると、これは、第1党が過剰代表される選挙制度が生んだ結果であり、キャンドル連合の亀裂の兆しが表れていることを知ることができた。にもかかわらず、政府与党はこれを自分たちの勝利としてのみ解釈し、政局を一層独断的に運営した。政府与党のキャンドル革命に対する安易で恣意的な専有、事実上キャンド成果の専有は、キャンドル革命言説に対する冷笑的態度が社会的に蔓延するようにつくっており、キャンドル連合を亀裂させた主要な原因として作用した。同時にこのような状況を放棄した市民社会の責任も指摘する必要がある。キャンドル革命の進展というレベルで自身の役割を省察し、探求しようとする人々の努力もとても足りなかった。その結果、キャンドル革命に対する政府与党の自己中心的解釈とその成果の専有が一層容易になったのである。

 

3.プラットフォーム政党としての民主党[11]

 

大統領選の結果は、キャンドル革命の過程において発生した熾烈な争闘の結果であり、一時的後退である。既得権連合はこれ以上退くことはできないという覚悟で政権交代だけのために引き入れるすべての勢力を集めて大統領選に臨んだが、キャンドル連合はキャンドル革命の圧力に上手に対応できず、むしろ内部分裂の道を歩んだ。ところが、尹錫悦大統領に対する支持率が新政府の出帆80余日ぶりに30%以下に下落した。支持率の下落に対する説明がいろいろと入り乱れていること自体が下落の原因を明確に指摘し難いという事実を反映する[12]

これを説明するのにもキャンドル革命の観点が必要である。つまり選挙を経てキャンドル革命が無くなったわけではなく、キャンドル革命に盛り込まれた志向が市民の政治的選択に影響を与えているのである。キャンドル革命という表現に同意するのかどうかとは別に、「革命」的変化、すなわち社会大転換に値する政界の努力を求める動きが作動し続けている。尹錫悦政府の出帆にもこうした熱望が一定部分作用した。社会的な困難及び挫折が大きい階層や集団においても尹錫悦候補に対する支持が高かった。しかし、尹錫悦政府がこのような未来志向的エネルギーを受け止める意志と能力がいずれもないということが露わになると、民心の広範な離反が出現したのである。それによって、いかなる理想もなく既得権の守護のために団結した集団も支離滅裂な様子を見せている。しかし、こうした様子をすでに予想したとしても急速な支持率の下落を楽しむだけで済む話ではない。尹錫悦候補の資質不足が露わになった大統領選期間にも民主党はその失望感を自分たちに対する支持につなげる案を提示できず、選挙の主導権を再び奪われたことがある。今後も反射利益に頼って政治的既得権を守ろうとすると、同じ失敗を繰り返しかねない。

この問題を解決するためには、民主党が「プラットフォーム政党」として役割をきちんと遂行することが大事である。プラットフォーム政党という用語は、2020年の総選挙を控え、市民社会の一角で比例衛星政党の立党を進めながら使われた。今回の大統領選を準備する過程において正義党内でも類似した構想が議論されたことがある。ただ、こうしたケースは一種の選挙用政党として持続的生命力を持ちがたいものであった。プラットフォーム政党はデジタル技術を活用して開放的政党を志向する新しい政党類型を指したりもするが[13]、ここではデジタル技術の活用可否より多様な社会・政治勢力に開放された政党というより包括的な意味として使いたい。これは、階級政党や厳密な意味での大衆政党(mass party)が発展されなかった韓国政治史においてまったく新しい形態ではない。権威主義の政権下で野党はアイデンティティや組織体系を整っていながらも、他の理念に基づいて活動する多様な社会勢力との関係に開かれた態度を見せた。民主化闘争を展開するにおいて、野党が自分たちの主要な政治的支持基盤であり、かつ人的資源(人材)を供給することができる貯水池として機能したからである。それゆえ、中道保守的政党といえる当時の野党内で金大中のような政治家が成長することができたのである。1980年代以後いわゆる「正統な野党」の開放性は一層増加した。「中産層と庶民」の政党という志向が示しているように、理念的には既得権の克服と多様な階級・階層の利益代弁を同時に標榜した。分断問題に対しても漸次反共フレームを克服し、共存、平和、協力等の価値に基づいたアプローチ方法を選ぶようになった。

ヨーロッパ型階級政党が発展できず、理念的性格が曖昧な政党が民主化や社会改革において主導的役割をするようになったのには、分断体制という状況があった。分断体制の制約と分断体制下で形成された守旧既得権を乗り越えるためには、理念と価値の差を超える政治的協力が必要だったし、今も必要である。こうした政治路線は分断体制の克服という変革的目標のために改革主義と急進主義が協力する中道主義的アプローチであり、白楽晴はこれを選挙マーケティングとして中道を強調することとは区別して「変革的中道主義」として提示したことがある[14]。民主党はキャンドル革命の局面に符合するように自身の改革的アイデンティティを強化する一方、変革的中道主義に立脚した協力において中心的役割を遂行しなければならない。党の改革性の強化と党外勢力との協力は、相互発展を促進する善循環をつくりだすることができる。現在民主党はこの路線に対する認識が定かではなく、プラットフォームとしての役割を強化することのできる体系を整っているとも言い難い。しかし、かつて歴史の重要な転換点毎に主要なリーダーシップが選んだ道はこうした方向であり、韓国社会の民主化や社会運動の発展に肯定的影響を及ぼした。

民主党がプラットフォームの役割を強化することは、民主党の発展のためだけではなく、変革的中道主義の課題を実現していくことに一層重要な意味がある。ここ5年間、とりわけ2020年の総選挙以後非民主党の政治・社会勢力は政府や民主党と距離を置くやり方で自分たちの政治的立地を強化しようとすることが多かった。これは執権与党に対する失望に加えて、民主党や進歩政党を相互の代替材として見做す慣習的思考が働いたからである。しかし、二つの政治勢力の浮き沈みは高い同調関係を見せた。民主党の政治的展望が肯定的である時に進歩政党の支持率も上がり、反対に民主党の政治的展望が不透明な時には進歩勢力に対する支持率も下がった。民主党が最悪な惨敗をした2007年12月の大統領選における鄭東泳候補の得票率は26.14%に過ぎなかったが、民主労働党の権永吉候補の得票率も3.01%で2002年大統領選における得票率(3.89%)より下落した。民主党の得票率が25.17%に過ぎなかった2008年総選挙の比例代表選挙でも民主労働党の得票率は2004年総選挙の13.03%に程遠い5.68%を記録した。民主党の得票率の下落が進歩政党の得票率の上昇につながらないだけではなく、進歩政党の得票率も一緒に下落したのである。

2012年の総選挙ではこの二党の比例選挙の得票率が高まり(民主統合党36.45%、統合進歩党10.30%)、統合進歩党は13議席を確保した。2016年の総選挙では当時野党だった民主党が第1党となり、正義党は比例選挙で7.23%を得票して比較的高い得票率を記録した。2012年に比べて正義党の比例得票率が多少下落したのは、統合進歩党の解散事件と国民の党の突風の影響を受けたからである。文在寅候補の勝利が有力だった2017年大統領選で正義党の沈相奵候補は6%を超える得票率を記録した。2020年総選挙でも比例衛星政党の出現によって議席数の増加にはつながらなかったが、正義党は比例選挙で9.67%を得票した。一方、選挙前の世論調査で尹錫悦候補の相当の優位が持続されていた今年の大統領選で正義党の沈相奵候補の得票率は2.37%にとどまった。

こうした得票率の同調現象は偶然の反復ではない。韓国社会の大転換のためには守旧既得権勢力を克服するのが優先課題だという認識が広がった結果である。守旧既得権の克服と価値志向の投票とが相容れない方向に選挙法が改正されれば最も望ましい。しかし、選挙制度の改革が実現される前には現在の制度的制約を考慮した政治戦略が必要である。また選挙制度が改革されても価値志向が守旧既得権の克服という要求と相容れない状況が持続されれば、その価値に対する支持を拡張するのは難しいだろう。結局キャンドル連合の再構築において民主党の中心的役割は当分の間維持されなければならず、その役割をしっかり果たせるようにつくることが「変革的中道主義連合」内で協力・競争する政党ら、そして社会勢力の発展にも重要である。より重要なのは、これを通じて社会大転換を可能にさせることは、政治的動力をつくりだすことができるという点である。

 

4. 民主党の変化は可能なのか。

 

民主党は、現在全党大会(2022.8.28)期間中であるが、党の体質改善と関連する議論は後回しにされており、プラットフォーム政党としての役割に対する問題意識も見られない。大統領選の終盤にキャンドル革命を再び掲げてはいたが、大統領選以後にはまた政治工学的議論に埋没されている。さらに、プラットフォームとしての役割を強化するのは、政党が持つ既得権の放棄を意味するため、党内では拒否感も少なくない[15]。これまで民主党のプラットフォームとしての役割の強化は政治的危機意識と党内の積極的リーダーシップという二つの要因が結合された時にあらわれた。2008~2012年の状況が代表的である。2007年の大統領選と2008年の総選挙での惨敗によって民主党の危機意識が大きく高まった[16]。当時民主党の指導部はこのような政治的危機を克服するため、党外勢力との連帯に積極的な態度を見せており、民主党、進歩政党、市民社会等の組織的連帯が行われた。この過程で民主党の改革的性格が強化され、2010年の地方選挙から2011年ソウル市長補欠選挙、2012年の総選挙まで主要な選挙において民主党と進歩政党が躍進することができた[17]。しかし、2013年以後には主要選挙で良い成績を上げ、民主党の危機意識が弱まり、それによって党外勢力との連帯にも消極的になった。2021年ソウル市長補欠選挙に続き、今年2回の選挙で敗北したのは、民主党の危機を表すが、尹錫悦政府の支持率の下落はそれに対する危機意識を再び弱化させ得る状況である。

民主党がプラットフォームの役割を強化することにおけるもう一つの問題は、政党と社会勢力との間の力のアンバランスが大きくなったという点である。かつては水平的とまでは言い難いが、政党と市民社会の間に相互依存的関係があった。物的資源では政党がはるかに優位にあったが、市民社会は議題の設定能力が強く、人的資源においてもあまり負けていなかった。ところが、民主化過程において制度に対する財政的・人的資源が強化されることによって、政党と社会勢力間の力のアンバランスが大きく増加した。それだけではなく、いまや政治家たちが自分たちのファンダム(ファン層または支持層―訳者)を通じて社会とコミュニケーションを取れるようになった。民主党が市民社会との水平的協力関係を結ぶ誘引が少なくなったのである。

しかし、民主党との協力が民主党だけのためのものではないという点を非民主党の政治勢力が認識する必要があるように、民主党も自らの役割をきちんと遂行するために党外政治勢力及び市民社会と水平的協力関係を発展させる必要があることを認識しなければならない。今回の大統領選で李在明候補と民主党は「空中戦」で負けた。キャンドル革命を挫折させようとする既得権の保守言論の攻勢が何より強かったが、空中戦を遂行するほどの民主党のネットワークが脆弱だったことも看過していけない。むしろ国民の力がより幅広いネットワークを活用したとも評価することができる。民主党も守旧言論に対する不満ばかり吐露せず、公論の場で発言力を高めるための努力をしなければならない。

さらに、キャンドル革命が民主党のプラットフォームとしての役割を一層重要なものにしている。キャンドル革命は社会大転換を現実的課題として浮き彫りにさせた。韓半島の平和、気候危機、ジェンダーバランス、ケア、地域均衡など社会の根本的再構築を必要とする議題が提起された状況である。この課題に取り組むためには、これまでとは次元の違う政治企画が必要である。全員が直ちに合意できる政策案は存在しないため、各議題に対する解決方案はもちろんのこと、推進方法や優先順位をめぐる社会的議論が必要である。その過程は論争的にならざるを得ないが、このような議論を通じて課題に取り組むための共同の方向性を形成し、連帯の幅を拡大しなければならない。つまり、民主党がプラットフォーム政党としての役割を強化するためには、次の二つの次元での実践が必要である。第一に、キャンドル革命の要求に応えられるよう自らの政策路線を持続的に革新することができなければならない。第二に、多様な政治・社会勢力の独自性を尊重する基礎の上で、社会大転換という共同目標を追求するためのコミュニケーションと連帯のネットワークを構築していかなければならない。

文在寅政府期に国民の不満を買った政策の失敗はいろいろあるが、その中には短期的対応では解決が難しい問題も少なくなかった。こうした問題を解決していくにおいては、目の前の成果にとらわれるより方向性を提示してこれを説得していくことが重要である。国民に大きな失望を与えた不動産問題の場合も、今すぐ価格を抑えるというような非現実的アプローチよりは、住居の安定に焦点を置く中長期的対応が必要である。それは、短期間に成果を出すことは難しいため、税金で価格を抑えようと取り組んだものの、その政策の反復的失敗が結局文在寅政権の正統性にも大きな打撃を与えた。

ラルフ・ダーレンドルフ(Ralf Dahrendorf)は、第2次世界大戦以後経済改革を断行した国家がその改革に成功するために「涙の谷(the valley of tears)」を渡らなければならなかったと主張したことがある。特に、代議民主主義国家の場合、政治家が改革初期に発生する費用を避けるため、短期的利益を掲げる選択をするようになる可能性が高いが、それが結局改革の失敗率を高めるということである。この谷を渡すためには政治的リーダーシップと政策プログラムに対する社会的合意が必要である[18]。「涙の谷」という比喩は1990年初め社会主義体制の移行と関連した議論で多く使われたが、改革あるいは社会大転換のためには今も考慮してみるべき問題である。キャンドル革命が追求する社会大転換は大規模の構造調整のような涙を求めるのではなく、困難があれば社会全体で一緒に負担し、成果を共に享受する方式を指す。ただし、気候危機、ケアなど当面の課題は我々の生活様式に大きな転換を求めており、各自が現体制で享受していた利益や便宜を諦めなければならない必要もある。こうした過程を支えるためにも社会的合意は一層必要であり、これは民主党がプラットフォームとしての役割を画期的に強化する時に成功することができる。そのために新しい指導部は、まず次の3つのことに至急着手する必要がある。

第一に、社会的大討論に基づいて社会大転換の要求に応えられる方向に綱領を改定しなければならない。民主党は全党大会毎に綱領改定作業を行なってきた。しかし、全党大会は概ね指導部の選出に焦点が当てられており、綱領改定は党内機構で政治的状況の変化等を反映して内容を調整する方式で行われた。綱領の内容が国民に伝わらず、党活動の指針としても活用され難かった。今後は綱領により明確な中長期的ビジョンを盛り込まなければならず、その内容に対して社会的レベルの共感をつくらなければならない。単純に反射利益やその都度の臨機応変に頼る政党ではなく、政策的ビジョンと授権能力を持った政党として次の政治的大会戦を迎えなければならない。討論過程で論争が発生し、異見は簡単に解消されないであろう。しかし、このような討論は民主党が政治工学の中毒から抜け出し、自らのビジョンを提示できる能力を備える契機を提供することができ、討論に開放的な姿勢を示すことこそが、まさに民主党の変化の可能性を見せることになるであろう。

第二に、外部との多層的コミュニケーション構造を構築しなければならない。これは恣意的であり、選択的に社会的資源を動員する方式ではなく、相互尊重に基づいた協力ネットワークにならなければならない。まず大転換議題と関連した協議体を構築することから始めることができる。中央と地方単位で党の活動に対する外部の提案と批判を聞き、それに対する党の立場を明らかにして整理していく公式の協力機構をつくらなければならない。こうした協議が必ずしも統一した立場を目標にする必要はなく、より重要なのは主要問題に対する開放的で責任のある論議を進めることである。

健康なファンダム(ファン層)文化を作るのも重要である。最近政治ファンダムの否定的影響に対する批判が高まっており、実際多くの問題がある。しかし、市民の自発的参加なしでは政治の力動性は発揮され難い。党改革の方向はこうした参加を遮断するのではなく、健康に行われるよう取り組んでいくことでなければならない。特定の人に対する盲目的支持や反対ではなく、政策や政治路線に対する提案及び討論が中心になるファンダム文化を形成する必要がある。政治指導者が政治的利益のために不適切なファンダム行為を煽らないことも重要である。

第三に、選挙法改正に対する積極的な態度と明確な立場を表明しなければならない。尹錫悦政府は比例衛星政党問題を生んだ現行の選挙法改正に否定的態度をとる可能性が高い。国民の力は以前から比例性を強化する選挙法改正に否定的であり、大変な過程を経て可決された選挙法に比例衛星政党というみみっちい対応を始めた政党(未来統合党)の後身である。彼らの協力的態度を期待しがたい状況において、選挙法改正に対する国民的圧力を強化することが唯一の方法である。国民の多数が、比例衛星政党が繰り返される状況は望まないので、可能性は十分にある。民主党は大統領選挙を控えた2月24日に衛星政党を防止する連動型比例代表制を含む政治改革案を発表したことがある。これからは原則的で理想的法案を提示することにとどまってはならない。選挙法改正を可決させるための現実的法案と戦略が必要であり、もし改正が行われない場合でも既得権を諦めることができる一層断固とした姿勢を見せなければならない。

こうした変化が真摯に行われる時に、民主党は単なる政権交代ではなく、大転換のための政治的・社会的連合の形成という目標で次の総選挙と大統領選に臨むことができ、ここ5年間の過ちを繰り返さず、社会大転換の主体になることができよう。

 

5.社会大転換の主体になる

 

このような政治企画が可能なのかに対する疑問は大きくならざるを得ない。議会内の多数党として民主党が享受する既得権が依然として少なくない状況において、その既得権を大幅減らしたり、捨てなければならない改革法案に簡単に同意しないだろうという判断がより現実的であるといえる。しかし、政党の政治的意思決定は必ずしも個人的選択の集合だけではない。政党は自らの政治的生命を維持するために大きな変化を受け入れる集合的決定をしたりもする。選出職を経ない青年政治家を党代表として選出したり、自身と対立的位置にいた候補をスカウトして大統領選を行った国民の力もこのような事例である。下からの変化に対する熱望を受け入れながら発展した、そしてそれを通じて数回の執権も成功した民主党の場合は、歴史の重要な転換期にこうした決定をしてきた前例がもっと多い。

もちろんそのためには民主党の変化を要求し、圧迫することが必要である。民主党に対して距離を置いて行われる批判ではなく、民主党が韓国社会の大転換のための主な主体の一つだという点を前提にする介入にならなければならない。つまり持続的に民主党の肯定的側面と否定的側面を分別し、そのうち肯定的側面が強化されるようにする積極的介入が必要である。今の韓国社会はもちろんであり、民主党も重要な転換期に置かれている。4・19革命、1970年代の反維新・民主化運動、6・10民主化運動、金大中・盧武鉉政府の出帆など様々な政治的契機はすべて民主党の理念的拡張と勢力拡大を促進させた。今もそれに準ずる転換期であり、党外のキャンドル勢力が民主党というプラットフォームを活用することができる良いチャンスである。例えば、全党大会等を契機に党員として加入してキャンドル革命時代にふさわしい政治家を支援する活動、党外で党がつくった多様なプラットフォームに積極的に参加して発言する活動などが可能である。組織的に党に加入して党の意思決定に影響を及ぼし、自ら有意味な政治勢力として成長するより積極的な道を模索することもできる。介入の具体的水準と方法は、各自がどのような現場にいるのか、どのような価値を優先的に追求するのかによって異なってくるだろう。しかし、韓国社会の大転換のためにはこうした政治感覚に基づいた政治連合の模索と発展が必要なのである。

 

 

訳:李正連(イ・ジョンヨン)

 

 

[1] 白楽晴「キャンドル革命と改革世上の主人役のために」『近代の二重課題と韓半島型国づくり』創批、2021、11-12頁を参照。この論文ではキャンドル大抗争とキャンドル革命を区分して使う。「キャンドル大抗争」は、2016年10月から2017年5月の大統領選挙まで政治的転換を成し遂げるため、大規模のデモが展開された局面を指し、「キャンドル革命」はキャンドル大抗争として始まり、2017年文在寅政府の出帆以後も社会大転換を求める社会的実践が持続されている局面を指す。

[2] チョン・ハヌルは「弾劾政治連合の形成と解体」というフレームで最近の選挙結果を解釈した。民主党支持層の離脱増加によって弾劾政治連合が解体され、保守へ流入された「ニュー保守」の拡大による結果が今回の大統領選の結果だという主張である。チョン・ハヌルの論文は、世論調査資料に対する実証的分析に基づいてここ5年間の有権者の政治的性向の変化をよく表しており、2020年の総選挙以前にすでに弾劾政治連合に亀裂の兆しが現れたことがあるという指摘も相当説得力がある(チョン・ハヌル「5年ぶりの政権交代と弾劾政治連合の解体要因分析」『動向と展望』2022年夏号を参照)。ただ、「弾劾政治連合」という概念が韓国政治の地形を区分する有用な概念なのかは疑問である。筆者が本文で説明したように弾劾に賛成した人々の中にすでに非常に違う政治的性向が混ざっていた上に、当時キャンドル大抗争で表出された要求が弾劾にだけ収斂されることでもないからである。そして「解体」という規定も可変性の多い世論調査にのみ依存して亀裂の程度を過大評価し、現在表れている有権者の性向変化を固定的に解釈させる問題がある。

[3] 姜敬錫「キャンドル連合の再構築のために」『創作と批評』2022年夏号、5-6頁を参照。

[4] 韓国ギャラップ「デイリーオピニオン第475号(2021年12月第1週):大統領選挙候補支持度、候補別支持理由、来年の大統領選挙結果への期待」を参照。

[5] 大統領選の結果をめぐって民主党内ではいわゆる「チョッチャルサ(졌잘싸)」(李在明候補が負けたが、不利な条件の中でよく戦った)や「チャルヘッチョッ(잘했졌)」(文在寅政府はよく頑張ったが、負けた)のような派閥的利害関係を優先する評価が対立したりもした。本質から大きく外れた議論である。「民主党の初・再選、大統領選評価の初討論会…“「チョッチャルサ」と「チャルヘッチョッ」”の幽霊彷徨う」『京郷新聞』2022.6.8を参照。

[6] 筆者は、2020年4月の総選挙以後(当時の―訳者)政府与党が「自らの権限を新たなビジョンをつくりだし、それへの共感を拡げていくことに使うよりも、今まで同様、それも過った、過剰とも思える両極化の構図を活用して政治的な動員に専念する姿勢を強め」ており、「これを総選挙の民意と見ることはできないし、より根本的にはキャンドル革命の継承にも程遠い」と指摘し、検察改革や不動産問題をそのような事例として取り上げたことがある。李南周「キャンドル革命の初心へ」『創作と批評』2020年秋号、3∼4頁を参照。

[7] OECD統計「Gross domestic product(GDP)」及び統計庁e-国指標「国内総生産及び経済成長率(GDP)」比較を参照。

[8] 統計庁e-国指標「ジニ係数」を参照。

[9] ブルームバーグはこれ以上の大きな変動はないだろうという判断から2022年6月の報告を最後に、アップデートを中断すると発表した。最後のアップデートの説明で韓国など国家の優秀な実績にはワクチン接種が可能な経済力と技術力のほかにも社会的信頼と連帯感(societal trust and cohesion)が無形の、しかし強力な変数として作用したと評価した(“The Covid Resilience Ranking: The Best and Worst Places to Be as World Enters Next Covid Phase,” Bloomberg, 2022.6.29を参照)。黄静雅は、東アジア諸国がコロナ・パンデミック対応に成功した理由を権威主義あるいは国家主義ととらえる慣習または常套的見解を批判し、韓国の事例はキャンドル革命等の民主主義経験が防疫に必要な紐帯と責任を生み出したという点を見せていると主張した(黄静雅「パンデミックの民主主義と『韓国モデル』」『創作と批評』2020年秋号、25∼29頁を参照)。

[10] 代表的に次のような論文がある。白楽晴「『キャンドル』の新社会づくりと南北関係」『創作と批評』2017年春号;李南周「3・1運動、キャンドル革命、そして『真理の出来事』」『創作と批評』2019年春号;朴亭垠・李南周・李貞澈・黄圭官「対話:『キャンドル革命』の現在と『キャンドル政府』2期の課題」『創作と批評』2021年秋号。

[11] ここでの民主党とは「共に民主党」の略称であり、かつ「共に民主党」がその正当性を受け継いだそれ以前の政党を称する表現として使う。

[12] 7月29日に大統領支持率が30%以下に落ちたという韓国ギャラップの発表があった翌日、朝鮮日報は社説(「大統領選の勝利から4か月で政権危機を招く、国政はどうなるのか」)において「不思議なことである。国政の失敗があったわけでもない」と嘆いた。メディアは「コネ採用」「独断的政治」等を原因として指摘したりもするが、因果関係は明確ではない。国政転換の必要性を主張する場合にもどのような方向への転換なのかをきちんと話すことがほとんどない。キャンドル革命の方向とは異なる方向を念頭に置くと思われるが、それが国民の望む転換になるのかは疑問である。

[13] Paolo Gerbaudo, “The Platform Party: The Transformation of Political Organisation in the Era of Big Data,” Digital Objects, Digital Subjects: Interdisciplinary Perspectives on Capitalism, Labour and Politics in the Age of Big Data, David Chandler and Christian Fuchs eds., University of Westminster Press、2019、188∼89頁を参照。

[14] 変革的中道主義に関しては、白楽晴「2013年体制と変革的中道主義」『近代の二重課題と韓半島型国づくり』創批、2021を参照。

[15] 単に既得権を維持するためではなく、政党政治の発展という趣旨にふさわしくないという立場からプラットフォーム政党としての役割強化に反対する意見もある。大衆政党モデルを理想的なものとして捉えるケースであるが、韓国の政党がこうしたモデルを追求しなければならないのかに対する再評価が必要である。パク・ジヨンとユン・ゾンシクは、情報化と代議民主主義の危機という状況に対応してオンラインとオフラインの結合を通じて市民の参加を拡大し、ニーズに柔軟に対応できる韓国型プラットフォーム政党モデルを提示した。パク・ジヨンとユン・ゾンシク「情報化時代における代議民主主義の危機の克服のための韓国型政党モデルの模索」『未来政治研究』第9巻第1号、2019、132〜134頁を参照。

[16] 一方、当時民主勢力の一角からは李明博政府の性格を「新保守主義」と規定し、保守も変化しているから民主勢力もこれ以上「独裁対民主」という対立構図にとらわれず、進歩政治の主導性を強化しなければならないという主張が提起された。しかし、李明博政府の守旧的性格を表すとしても、「正常の保守」とそれに対比される「進歩」(独自的進歩政党)との対立構図に政治地形が再編され得るという展望は、韓国の現実とは合わないという点がそれ以後再確認された。

[17] 連合政治の言説がこのような連帯を裏付けた。しかし、連合政治は主に議院内閣制と比例代表制が結合された政治制度下で作動するメカニズムである。韓国の場合、選挙制度の制約によって選挙前の連合、つまり連合公薦(公認)が連帯の主要な方法にならざるを得なかった。これは、それ自体では制度化しにくく、各党の被選挙権を制約するなどの短所もある。

[18] Jeffrey D. Sachs, “Crossing the Valley of Tears in East European Reform,” Challenge, Vol. 34, No. 5(Sep/Oct 1991), 31頁を参照。