世界の権力地形の変化の中における韓国の戦略

 

孫洌
延世大学校国際学大学院長。著書に『日本:成長と危機の政治経済学』、『東アジアと地域主義』(編著)、『近代韓国の社会科学概念の形成史2』(共編)などがある。yulsohn@yonsei.ac.kr

 

 

1. 序論

 

2013年を開く東アジアの新しい指導者たちは、同じく「復興」を語っている。中国の習近平総書記は「中華民族の偉大なる復興」を唱えたし、日本の安部晋三首相は長期沈滞と東日本大震災から脱して復興のために力を注いでおり、韓国の朴槿惠(バク・グンへ)大統領当選人もまた、経済復興でもう一つの「漢江の奇跡」を成し遂げようとする。しかし、2013年が東アジアにおける復興の元年となるには、多くの障害物が立ちはだかっている。まず、世界経済はグローバル金融危機に次いでユーロ圏の財政危機で沈滞の沼からなかなか抜け出せずにいるし、今後5年間の展望も暗くて皆が再び栄えることは難しく見える。特に長期の経済沈滞期に各国は国際協力より国内問題の解決を優先する内向性(inwardness)が強くなる傾向を示すために、「復興」談論は一国中心的、民族主義的性向を帯びる可能性が高い。


さらに現在の東アジアは領土問題と歴史問題で民族主義的熱情が高まっており、韓日関係と中日関係は最悪の状況に置かれている。南北関係の画期的な転換もまた難しい。金正恩(キ厶・ジョンウン)政権は核先軍体制を維持しながら外部の反対のなかで中国への依存を深化する路線を選択するのか、それとも先経済路線を選択して国際社会と連結しながら正常国家の道を歩むのかという岐路に立たされている。20年ぶりの権力交替が対内外の政策変化に決定的契機となれるという点は明らかであるが、未だリーダーシップの変化は感知されない。特に中国を含めた国際社会の反対を押し切って、去る12月、ミサイル発射を敢行したことに次いで核実験のカードを握っていて、新政府は大変な忍耐力を持って対応していくべきである。

今後、朴槿惠政府の外交における5年を左右する最も大きな変数は、米中関係、つまり東アジアでアメリカと中国との間における勢力配分の構造変化である。昔から覇権国の衰退と浮上国の登場という勢力転移(power transition)が起こると、戦争が発生した。浮上国は既存の覇権国が作り出した国際秩序に不満を持ち、武力を使うこととなるし、既存の覇権国もまた、競争国の浮上を先制するため武力を使おうとする誘惑に陥りやすい。国際政治において国力の不均等な発展と勢力転移は常に在る続けた。問題は勢力転移を平和的に受容する国際体制を作ることである。素早く浮上する中国が既存の地域秩序をどれほど揺さぶるか、相対的に衰えつつあるアメリカはどのような代案を持っているか、予想より早く下降する日本の空白と、それを取り戻そうとする彼らの努力は地域秩序にどれほど影響を及ぼすであろうか、こういう中で平和的な勢力転移は可能なのかなどが要である。強大国間の勢力転移が対立と葛藤を伴う場合、韓国は味方することを強いられるであろうし、経済復興や領土・領海問題の解決、北朝鮮問題の解決のための国際協調も難しくなる。

従って、米中関係の変化の波高を乗り越えるために、朴槿惠政府は新しい戦略を設けるべきである。李明博(イ・ミョンバク)政府は、過去の盧武鉉(ノ・ムヒョン)政府が東北アジア地域の協力を全面に掲げながら協力的自主国防を図り、東北アジア均衡者論を論じながら伝統的韓米同盟を毀損したと見なし、その同盟の復元に全力を注いだ。その結果、韓米関係はこの上なく良好な水準に達したが、このような同盟路線では多様に繰り広げられた韓国の国益をまともに実現することは難しかった。北朝鮮の核問題を解決する糸口が掴めず、5年間ずっと中国と不便な関係を甘受しなければならなかったし、千辛万苦の末に批准した韓米FTAは経済復興の鍵ではなかった。これから新政府は同盟外交とアジア外交、地域および地球的水準での多者外交を釣り合いよく追求する新しい戦略概念を設けるべきである。しかし、朴槿惠当選人が掲げた「韓半島信頼プロセス」は朝鮮半島の安全と平和に限られた掛け声の水準に留まっている。

これに対する代案として最近、国内の学界および政策サークルで論議されている中堅国外交(middle power diplomacy)の概念に注目する必要がある。中堅国とは単に経済的・軍事的規模の面で強大国と弱小国との間の中間(medium-sized)国家群を意味するわけではない。韓国は世界10位圏の軍事力と経済力を備えているが、これと同じような規模の国々との外交的共通分母を見い出すことは難しい。一部では特定の外交属性として規範外交、地球的多者外交、隙間外交などを中堅国外交として定義したりもする。これはオーストラリアとカナダの場合で、両国とも地政学的脅威に当面していない上に、相対的に自給自足的な経済体制を備えているなかで、地球的イシューに介入して国際貢献を通して自国の位相を高める戦略を繰り広げている。従って、北朝鮮の脅威に直面しており、世界経済の変化に脆弱な経済構造を持っている韓国がモデルとするには適切でない概念であるカナダとオーストラリアを主な事例とした中堅国外交に対しては、Cooper, Andrew, Richard Higgott, and Kim Nossal, Relocating Middle Powers (University of British Columbia Press 1993).。本稿で主張する中堅国外交とは、強大国に便乗して短期的国家利益を追い求める弱小国外交や、武力と経済力を武器に相手国を追い込む強大国外交を止揚し、長期的観点から地域、あるいは地球全体のガバナンスと利益のために努力する外交を意味する。また強大国を中心に組み立てられる地球的・地域的覇権の秩序を止揚し、新たな秩序の造成のために強大国間の疎通と対話の場を設けて協力を促進する仲裁・仲介者でありながら、主なアジェンダを形成し、秩序を設計するパートナとして働く国家の外交を意味する。韓国は中堅国外交を通じて米中関係の険しい波高を乗り越え、繁栄と共生の東アジア秩序を打ち立てることに先駆けし、平和の朝鮮半島ガバナンスが構築できなければならない。

 

2. 米中間における勢力均衡の変化

 

朝鮮半島は海洋勢力のアメリカと大陸勢力の中国との間の地政学的断層線(fault line)に位置しており、両国と経済的・戦略的に深く関わっているため、両者関係の変化に大きな影響を受けるしかない。米中が東アジアで覇権を巡ったゼロサムゲームに突入し、多様な政策手段を使って競争する渦中に最終的に武力に訴えようとする場合、韓国の立地が狭くなるのはもちろん、甚だしくは軍事力の衝突の場となる可能性も完全には排除できない。また、覇権の葛藤で中国の浮上が挫けられたり不安定となると、韓国経済は夥しい打撃を受けることとなるだろう。韓国の安保的対米依存と経済的対中依存との間の不整合は、苦しい状況をもたらしてくるかも知れない。最近の中日関係から見られるように、中国は安保上の利益のために経済的手段を動員してきたし、アメリカもまた戦略的利益のために韓国と中国の経済関係に影響を及ぼそうとするかも知れない。生存を追い求める北朝鮮は、米中の競争構図が強化されるほど、自分の立地が強化され、戦略的価値が上昇するという事実をよく承知している。このような状況で統一の可能性は一層低くなるしかない。結局、韓国外交の大きな方向は、米中が戦略的協力を持続しながら、朝鮮半島を巡ったゼロサムゲームを繰り広げないように努めることである。また、米中間における勢力配分の構造の変化と勢力転移が平和的な方法で成されるように仕向けると同時に、その過程で韓国の国益を最大限増進させることが課題だと言える。理論的に言うと、東アジアにおける勢力転移を平和的に吸収して、現在より、よりよい未来が創出できる「体制的柔軟性」を増加させることである。ここで今後の米中関係を正確に展望することが非常に重要である。両強大国の関係が葛藤局面なのか、協力局面なのかによって異る外交戦略が構成されなければならないからである。

今後、米中関係は経済力と軍事力の相対的な変化推移、経済的相互依存の程度、国内の政治的要因へと分けて展望できる。まず、中国は1978年の改革開放以後、二桁の経済成長を持続してきたし、2008年のグローバル金融危機の折も、早い回復と共に8%の越える成長率を成し遂げ、2012年のグローバル経済沈滞のなかでは7.8%の成長を収めた。最近2%前後の成長率を記録したアメリカが苦戦し続けるならば、両国のGDP均衡は10年後の2022年頃に逆転することと推算される。

中国の軍事力発展は経済成長と比例する。中国は年15%以上の国防費を増やしてきたし、2011年アメリカの国防費(6980億ドル)の1/6の水準である1200億ドルを支出して世界2位を記録した。中国は今後10年間、国防費の4780億ドルを減らさなければならないアメリカとの格差をさらに縮めるだろう。それと共に、宇宙船の開発、衛星邀撃ミサイルおよび核武器など戦略武器の増強、最新鋭戦闘機の実践配置、核潜水艦および航空母艦の建造など軍事の現代化にも励んでいる。また、中国軍は東アジアで米軍の活動範囲を制限しようとする、いわゆる反接近、地域拒否の戦略を積極的に推進している。

その反面、アメリカは経済力の相対的衰退のなかでグローバルリーダーシップの復活のために苦戦している。アメリカはブッシュ行政府の8年の優勢(primacy)戦略、あるいは覇権戦略を締め切り、オバマ行政府に入って多者主義に基づいた選択的介入戦略を取る姿を示してきた。9・11事態以後、対テロ戦争による安保不安と正当性の危機に2008年の金融危機まで経ながら、既存の覇権戦略を維持しにくくなったのである。不況を克服し、財政赤字の拡大に対処する一環として国防予算を大幅縮小しなければならない状況で、アメリカは軍事力の調整に沿った外交戦略を出した。クリントン(H. Clinton)国務長官の「アジア回帰」(Pivot to Asia)宣言は、アジアに対するアメリカの外交的関心と努力が足りなかったことを認めながら、アジアの成長と動力をアメリカの経済的・戦略的利益のために活用するという立場に基づいて、多様な次元でアジアに対する関与と協力の構図を構築しようとする意図の表明であるHilary Clinton, “America’s Pacific Century”, Foreign Policy (November 2011).。ここで核心の対象は中国であり、両者・小多者(mini-lateral)・多者(multilateral)の枠など、多数のレベルから中国を制度的に絡み合わせておく戦略を追求している。

一方、アメリカは長期的に中国の覇権挑戦の可能性に備えるために、軍事的牽制装置を設ける二重戦略を繰り広げている。代表的に2012年1月に発表された「アメリカの世界指導力維持:21世紀国防の優先課題」という国防部の文書は、(1)アメリカの戦力構造と投資方向をアジア太平洋地域と中東へと再調整するという点 (2)既存の大規模駐屯型の戦略構造を転換して迅速移動の可能な形態へと変換するという点 (3)対テロ戦、大量殺傷武器の拡散防止、同盟国支援、サイバー戦の備えなど、主要分野の予算が保存、あるいは増強されるという点を強調するDepartment of Defense, “Sustaining US Global Leadership: Priorities for 21st Century Defense”, http://www.defense.gov/news/Defense_Strategic_Guidance.pdf.。 ここで特記すべき事項は、アメリカが戦略環境の最優先要素として相変わらずテロによる地球的安保状況を数えているものの、例年に比べてその重要性は次第に弱化されており、かえってアジア太平洋がアメリカの今後の経済発展と同盟国との関係強化において非常に重要な地域として浮上していることを強調する点である。特に最近中国が集中している反接近、地域拒否の戦略に対する対応を論議しながら、これを非常に重要な目標として想定し、軍事戦略の次元でこれを次第に可視化している。2012年6月、パネッタ(L.Panetta)国防長官はより具体的な措置として2020年まで太平洋と大西洋に配置されたアメリカ海軍の艦隊比重を5:5から6:4へと調整する予定であり、航空母艦6隻を含めてアメリカが保有している総285隻の艦艇のなかの半分を太平洋に配置すると宣言した。長期的に国防力を減らしながらも、アジア太平洋に対する戦力はむしろ拡大しようという意志であるLeon Panetta, “The Force of the 21st Century”, 2012/12/18. http://www.defense.gov/speeches/speech.aspx?speechid=1742。

 

3. 米中関係の未来としての新型大国関係

 

アメリカと中国との国力の格差が縮小されながら、地域秩序の向背は焦眉の関心事となった。勢力転移がもたらす変化に対しては、悲観論と楽観論が食い違っている。悲観論者たちは勢力転移による覇権競争が覇権国中心の既存秩序に対する浮上国の不満の程度、国力水準、国家間の連合様相などの影響を受けるが、結局戦争へと帰結したという事実に注目する。特に同じ地域に共存する強大国らは、安保の余地を最大化するために競争国との国力の格差を極大化しようとするし、従って長期的衝突は避けられないことと見なす。中国が地球的次元でアメリカの覇権に挑戦するまでにはいかないにしても、東アジアで自国の核心利益を拡大するため地域覇権を追求するだろうし、よってアメリカとの競争は必然的であり、周辺国はどちらか一方に味方することを強いられる可能性が高いと予想する。

その反面、楽観論者たちは経済的相互依存が深化して、互いに対する敏感性と脆弱性が高まるほど、葛藤よりは協力が優勢となることと見なす。米中間の経済的相互依存の程度は深い。アメリカは中国の最大輸出対象国であり、中国はアメリカの第3位の輸出対象国である。金融部門で見てみると、中国はアメリカの対外負債の約23%を抱えている。だからといって債権国の中国が債務国のアメリカに対して決定的な協商力を持っているわけではない。「テロの均衡」という表現のように、中国がアメリカ債を売る瞬間、両国の経済は大きな打撃を被ることとなっている。また、中国の対外輸出の半分は外国資本の対中国投資によって成されている。中国は外国投資で組み立てられた超国家的分業生産の構造のなかで、中間材を輸入して最終材を欧米へ輸出する超国家的市場ネットワークに属しているので、アメリカとの葛藤が悪化すると、経済成長に甚大なる打撃を被ることとなる。

だが、経済的相互依存の深化が必ずしも戦争を防止してくれるわけではない。代表的な事例が20世紀のイギリスとドイツで、両国は深い経済関係にも関わらず、ついに1次世界大戦に走った。イギリスからドイツへの勢力転移は戦争の可能性を高める条件であるが、両国間で深化した経済的相互依存を細かく見てみると、相変わらずイギリスに有利な非対称関係であった。事実、ドイツは戦略物資輸入の20%をイギリス植民地から充当したし、貿易金融はロンドンに依存したので、イギリスに対する自国経済の脆弱性が自国に対するイギリス経済の脆弱性より相対的に大きかった。それにも関わらず、ドイツはイギリスがヨーロッパ大陸の戦争に介入しないことと判断を誤って戦争を始めた。深化した経済的相互依存のためにイギリス(特にロンドンシティーの金融資本)が宥和的に出ることと見なしたし、当時ヨーロッパを風靡した、いわゆる「攻撃の崇拝」(cult of offensive)に駆られて電撃攻撃による短期戦でけりをつけるならば、イギリスに対する経済的脆弱性という弱点が避けられると信じた。しかし、イギリスは迅速に参戦し、国力を総動員する全面戦と長期戦を行いながらドイツの夢を奪い取った。

中国の未来はドイツの過去と異なるだろうか。現在の趨勢ならば一定の期間、中国の軍事力はアメリカに劣勢であり、経済的にも非対称的相互依存の関係が持続されるだろう。中国の対米輸出の比重は17%である反面、アメリカの対中輸出は5%ほどであって中国の対米依存がアメリカの対中依存より三倍以上高い。また中国の経済はアメリカの技術と投資に深く頼っている。要するに、中国が経済力を高度化してアメリカと相互依存の均衡(あるいは対称)をとる前までは対決構図に出にくい。

中国としては不安定な権威主義の政治体制も問題である。これから中国の党と政府は、一方では経済成長と社会福祉、行政の効率性、対外政策上の成果、そして中華民族主義の高揚を通じて正当性を確保し、もう一方で内部的には厳しい統制に基づいて体制を維持していくだろう。だが、今だ労働者、農民など疎外階層の不満が解消できる方案が明瞭でないため、社会的騒擾と不安定は日増しに深刻となる可能性が高い。政治民主化の問題もまた、共産党の団結と経済成長が持続する限り当分の間伏せておくことができようが、経済が成長するほど、至急の解決を要する課題である。経済もまた、短期間に急激な成長鈍化に直面する可能性は高くないが、既存の成長優先の方式から民間消費を拡大し、貧富の格差を縮め、インフレーションを適正の水準で統制する方へと転換しなければならない課題を抱えている。

今後10年間、中国は「全面的小康社会」の建設を目標に、安定した経済発展と内需振作、国内経済の不平等解決などのため集中するだろうし、これを通じてアメリカの経済を追い付いてアメリカとの非対称的相互依存を矯正しようとするだろう。こういう点から中国は早期にアメリカと過度な覇権競争を繰り広げることは避けたほうが賢明だと判断している。経済危機でアメリカの指導力が弱まったことは事実であるが、地球的経済沈滞を克服するためのアメリカとの共同努力は中国の国家戦略とも一致するからである。

このような脈絡から台頭したのが、去る2012年2月の習近平の訪米演説で登場した「21世紀的新型大国関係」である。これは経済発展を持続して2021年に全面的小康社会の建設を完成するよう国際環境を造成しようとする戦略用語で、ドイツの誤判を繰り返すまいという宣言でもある。過去、イギリスとドイツの関係や、冷戦期のアメリカとソ連の関係が旧型大国関係だとしたら、21世紀の中国とアメリカは、(1)「相互理解と戦略的信頼の増進」 (2)両国の「核心利益と重大関心事」の尊重 (3)「利益増進のための相互協力の深化」 (4)国際問題および地球的イシューに対する相互協力の関係を追い求めるべきだということである。2012年5月、「米中戦略・経済対話」で胡錦濤主席は新型大国関係を再び強調した。彼は両国を「世界最大の発展途上国家と最大の発達国家」と定義した後、「国際情勢の変化と中米両国の国内状況のいかなる発展にも関わらず、両国とも当然協力同伴者の関係建設を持続し、両国の国民が安心するように努力する新型大国関係を建設」すべきだと闡明した習近平と胡錦濤の発言は、ハン・ソクヒ、「習近平指導部の対外関係分析」、『国家戦略』第18巻4号(2012)、39~40頁から引用。。

もちろんこれは過去の韜光養晦の戦略とは違いがある。決して譲れない「核心利益」を提示してこれを守るという宣言をするからである。胡錦濤主席は2012年11月の中国共産党第18次全国代表大会の開幕報告で、全面的小康社会の推進と共に、3大核心利益(①国家政治体制〔国体〕と政権の構成形式〔政体〕および政治的安定 ②主権安全と領土完整および国家統一 ③経済・社会の持続可能な発展の保障)を守護するために強力な国防力を養うことを明かした“Full Text of Hu Jintao’s Report at the 18th Party Congress”, 2012/11/18. http://www.globaltimes.cn/content/744879.shtml。 中国は大きくなっていく図体に沿って核心利益の範囲を拡張していきながら、これと結び付いた多様な懸案に攻勢的に対応するということである。

アメリカは新型大国関係論に応答している。クリントン国務長官は今日、既成大国と新興大国との出会いは、一国がうまくいかないと残りの国家も成功できない相互依存の関係なので、20世紀と全く異なる、難しかろうが新しい未来関係を見つけるべきだと力説したHilary Clinton, “Remarks on the US Institute of Peace China Conference”, 2012/3/7. http://www.state.gov/secretary/rm/2012/03/185402.htm。 パネッタ国防長官も2012年9月、中国の青島にある北海艦隊司令部を訪問して、アメリカのアジア太平洋軍事力再配置は中国を狙ったことではないし、アメリカの政策は中国の役割を縮小させることではなく、拡大し参与を増進させることだと強調した“Panetta Visits Chinese Navy Fleet, Tours Vessels”, http://www.state.gov/secretary/rm/2012/03/185402.htm。 協力と競争を共に図るといった意味である。

従って、今後米中関係は協力と葛藤の二重奏であろう。ただし、中国が2022年一人当たり所得1万ドルの時代までは相対的に協力を追求することと見なすならば、私たちが積極的に東アジアの秩序変換に参加できる時間は10年程であるかも知れない。この位が、米中両国が勢力争いという強大国中心の思考を克服し、真正な共同利益を見つけて定義していくように役割を遂行する中堅国に与えられた時間である。

 

4. 新政府の中堅国外交戦略

 

米中の新型大国関係のなかで2013年韓国の新政府が持つべき戦略的ビジョンは、東アジアが強大国中心の秩序から多次元的協力の地域秩序へと変換する転機を設けることである。今後10年間、東アジアにおける勢力転移を平和的に吸収・発展させる体制的柔軟性を確保する目標を成し遂げるためには、域内外の多様な行為者たちが互いに連係する複合ネットワークの秩序を設計する必要がある複合ネットワークの概念に関しては、ハ・ヨンソン編、『2020韓国外交の10大課題』(東アジア研究院、2013)を参照。。 民族主義が噴出し、強大国の競争が本格化する地域現実において、アイデンティティの共有を前提とする「共同体」的秩序とは理想に近いと見なすならば、ネットワーク秩序が現実的代案となれる。ここで「ネットワーク」とは既存の同盟体制のように国家間の固定した連係ではなく、通商・金融・安保・生態環境など多数のレベルから国家および非国家の行為者たちが開放的で弾力的に、拡張可能な形で連係するという意味で、こういう秩序を作っていくことで強大国中心の組分けと民族主義の過剰による国家間の対立を克服しようということである。中堅国として韓国の役割は、こういう秩序造成のために主要行為者とすべての方位で連係を拡張・強化していくと同時に、強大国間の疎通と協力を促進する仲裁者でありながら主要アジェンダを形成し、秩序を設計するパートナとしての役割を模索すべきである。中堅国外交を通じて米中関係の険しい波高を乗り越え、繁栄と共生の東アジア秩序を打ち立てることに先駆けして平和の朝鮮半島ガバナンスを構築することである。このために次のような四つの重点課題を考慮してみることができよう。一つ目、韓米関係と韓中関係という核心的な両者関係を併行しながら深化していくことである。韓米同盟はそれ自体として存在意義を持つのではなく、朝鮮半島(ひいては東アジア)の安定と平和のための手段に過ぎない。無条件的なアメリカ偏向が韓国の国益に符合しないことは、李明博政府の様々な事例から確認された。また韓米間の包括的戦略同盟を韓国が実際実行できるかに対する検討も必要である。国防力を減らそうとしているアメリカは、より多くの友邦の協調と分担を促そうとするであろうし、韓国はアメリカの期待に協調する姿を示しながら、国民情緒に負担とならない協力の方案を講じるべきだ。このことが次期の政府が遂行すべき重要課題である。事実、韓米同盟は運用するによって韓国が持つ最も重要な資産のなかの一つとなれる。朝鮮半島だけでなく、地域および地球的次元で韓国自らの目標と戦略を先に定立して同盟の発展に臨む努力が求められる。

韓中関係は韓米関係に劣らず重要な比重を持つ課題である。韓中間の深化する経済・社会・文化関係は、政治・軍事領域へと拡散されて協力を導きうる反面、韓国経済の中国依存度が高まるに沿って中国がこれを政治手段とする危険性もある。なので、中国が韓中関係を東アジアの共生と繁栄という地域全体の利益の次元で認識し、域内政経分離の原則が損なわれないようにする一方、経済関係の制度化で戦略的外部効果が期待できるように制度を設計する知恵が必要である。

また、韓米同盟を維持しながら中国とも協力関係を発展させていくために、韓米同盟と駐韓米軍の役割が中国を狙ったことではないという信頼を中国に植え付ける外交的努力を積極的に展開すべきである。韓国は米中が協力する争点と葛藤しうる争点とを正確に分別して、米中関係が戦略的・覇権的対決へと還元されないように代案的論理構造と談論を作っていく中間者的役割を遂行すべきである。

二つ目、東アジアの中堅国とのネットワークを拡大し、彼らとの間の協力を主導して、米中の対決構図で地域秩序が再編されないように外交的努力を尽くすべきである。効果的な地域多者秩序を構築すると、強大国の行動を制度的規範と規則で制約できる。このために地政学的利害を共有している国家群、例えば経済的には中国に対する依存が大きくなる反面、安保的にはアメリカとの協力を重んずる中堅国らと一種の維持連合(like-minded group)を形成して、新しい地域多者制度の構築に共同歩調が取れる。韓国と協力できる対象はインドネシアなど一部の東南アジア諸国連合の国家、オーストラリア、インド、それから日本である。この作業は容易くない。中堅国らの無賃乗車を防ぐ一方、集合行動の基盤を設けなければならないからである。

その出発として韓国は日本と新しい協力の枠を設けるべきだ。斜陽大国の日本はすでに強大国政治の客体へと転落したし、新たな中堅国アイデンティティを模索していて、韓国はこれを積極的に活用する必要がある。韓日両国は東アジアの二つのOECD国家であり、近代化・産業化・民主化を他のアジア国家より先に経験した、言わば「実践的先駆者」(thought leader)である「実践的先駆者」の概念は2006年、日本の麻生太郎外務相が使用した。麻生外務大臣演説、「東アジアの将来の安定と繁栄を共に目指して:過去の教訓、そして夢を見る自由に向けたビジョン」2006/5/3. http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/enzetsu/18/easo_0503.html。 両国は強大国の覇権政治を止揚する地域秩序を打ち立て、地域の集合アイデンティティを作ることに協力すべきである。こういう脈絡から次期の行政府は現在、独島問題で停滞している韓日関係を地域的次元の戦略協力関係へと発展させる道を模索することと、韓米日協力の適正水位を確保することを優先的に推進すべきである。

三つ目、経済協力を通じた地域多者秩序を模索すべきだ。去る十数年間、東アジア地域は世界経済成長を導いたが、成長の裏面には地域を単位とした超国家的な産業蓄積と国際分業のネットワークが居据っている。東アジアの企業は域内で互いに異る立地条件と天然資源を活用して超国家的生産ネットワークを組み立てながら、世界的に最もダイナミックな製造業競争力を蓄積したし、これと共に東アジア経済のネットワーク化を進展させている。また、市場主導型発展を一段階高めるため、両者間だけでなく東アジア全体を絡める多者間自由貿易協定(FTA)の締結など、制度化の努力も続いている。これは経済的相互利益を増進させると同時に、国家間の戦略的競争を緩和し、協力を突き動かす手段でもある。こういう点で最近論議されている韓中日FTA, RCEP(域内包括的経済同伴者協定), TPP(環太平洋経済同伴者協定)など、多者主義FTAは東アジア地域主義の発展に重要な契機となりうる。

問題は韓中日である。アジア3大経済大国でありながらも、三者間にはいかなるFTAも締結されなかった。中日の主導権争い、敏感な部門における強い保護主義、領土・歴史問題の厳存、域外国家のアメリカに対する異見などが原因だといえる。このような政治・戦略論理を越えて新しい経済論理を開発することによって地域多者FTAを成し遂げ、これを通して戦略的外部効果を図るべきである。また、FTA疲労現象を克服し、国民的合意を導き出すためには、変化する国内の経済環境と調和した、つまり均衡成長と職場の創出に役立つ通商政策を推し進めるべきだ。こういう対外的なFTA政策を追求しながら、国内の経済ガバナンスもまた、分配的側面をより勘案する方向へと改善されるべきだ。

四つ目、米中競争のなかで中堅国外交の次元で対北朝鮮外交を推進するということは、北朝鮮問題を単に朝鮮半島の次元ではなく、地域次元の問題として提起することを意味する。その過程で韓国が政策の主導権を行使し、国際協力の文化を創出するならば、これは地域問題を解決するモデルを提示する意義を持つだろう。そういう点で北朝鮮問題を危機ではない機会として認識し、対北朝鮮外交を中堅国的観点から接近すべきである。

このような次元で今後考慮すべき事項としては、まず、対北朝鮮外交の目的を核の廃棄および改革開放の誘導、統一に限定するのではなく、他の対外政策のイシューと結び付けて長期的に考慮すべきだという点である。北朝鮮の核問題を韓国外交全般の観点から認識して、それが短期的に解決されない場合でもその管理過程で韓国の外交的立地を固めるべきだ。同時に中国との戦略的協力を強化し、米中両者関係のなかで韓国の外交的活動の幅を広めるべきである。このように東アジア多者安保の機会として北朝鮮問題を認識し、北朝鮮の核非拡散および正常国家化の過程で韓国の地球的外交モデルを強調するなど、多角的な外交成果を築いていくべきだ。北朝鮮問題を地域全体が協力して取り扱う構図をしっかりと固め、その中で米中協力を導き出すことはもちろん、知識外交の主導力を増幅させることで私たちが望む長期的な外交目標が達成できるように努めなければならない。

最後に中堅国外交は排他的国益ではない地域全体、あるいは地球全体の利益を追い求めることによって結果的に国益を増進させるという長期的観点の国益計算法に基づいている。朴槿惠政府は高度情報化時代に相応しい市民社会との疎通メカニズムを設けて、国益に対する国民的合意を成し遂げ、市民社会の知恵を政策決定と実行の過程に連結させる新しい外交文化を作っていくべきである。

 
翻訳:辛承模
 

季刊 創作と批評 2013年 春号(通卷159号)

2013年 3月1日 発行


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